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【オードリー・タンの思考】私はなぜ、オードリー・タンという人物を日本に届けたいのか。
インタビュー後に自分自身の思考や行動が変わったから。
2019年12月に公開された、オードリー・タンさんインタビュー記事「「国民が参加するからこそ、政治は前に進める」――38歳の台湾「デジタル大臣」オードリー・タンに聞く(Yahooニュース特集)」。この記事のために行った3時間のインタビューからはたくさんの学びと発見があり、私自身も少しずつ考え方や行動が変わっていきました。
自分が短い人生の中で経験したことにはすべて意味があるから、その経験や自分の持つスキルを活かしてできることは何かを考えて、行動するようになりました。
実はこれまでどちらかというと、出版社で雑誌やメディアを作っていた経験から「今、世の中が必要としていることを感じて、それを発信する」ような癖がついていたように自分で思うのですが、今は少しずつ「自分が本当にいいなと思ったもの」を届けたいと思うようになりました。
そうすると、日本や世界にいて、同じような関心を持つ人と知り合って話をすることができるようになり、自分自身の幸福度も上がりました。
例えば
✍️書きました
— 近藤弥生子 YaekoKondo @オードリー・タンさん書籍📚執筆中 (@yaephone) August 14, 2020
「台湾にすごいアプリがあるんだよ!」と日本人に話すとたいてい、「日本ではあり得ないね」という感想が返ってくるアプリ。
【商品についたバーコードをスキャンすると、環境保護違反の罰金回数・金額・内容まで丸わかり】になるというものです。 https://t.co/HT1dS02B6y
4,000いいねをいただいたこの記事で紹介した、環境保護を訴えるNPOは、この直後にオードリーさんが召集人として推進する台湾の「総統杯ハッカソン2020」で、グランプリに選ばれました。
自分が素晴らしいと思っている人々が根底でつながっていることを感じて、残りの人生で向き合うべきテーマのひとつを見つけられた、最高に嬉しかった瞬間でした。
と、このように
天才でも、エンジニアでもない私が一度だけオードリーさんにロングインタビューしただけで、こんなに幸せになりました。
だから、私は自分が書くべきものは、オードリー・タンの伝記ではないのだと思いました。
これまでの日々に彼女が何を思い、どのように考え、どう行動しているかについて、考えた本を書くべきだと。
私たち一人ひとりの行動が変わったら、社会はきっともっと良くなるから。『自分の中にオードリー・タンを宿そう』
本のための取材初日、2020年8月20日。
「そんな本が書きたいです」とご本人に伝えました。
すると彼女は
「これからあなたが本を出す前に、2つの出版社から私の本が出ます。どちらも私の過去の仕事を作品集のように、そして通っていた幼稚園まで細かくまとめてくれたものです。
あなたの話を聞いていると、読者が社会改革や革新に参加できるようになってもらいたいという、“ソーシャル・イノベーション”がテーマである点が、それらと違うように思えます。」と話してくれました。
オードリーさんは、『自分の中にオードリー・タンを宿す方法』こそが、ソーシャル・イノベーションであると、気付かせてくれました。
書籍の取材のため、オードリーさんのオフィスへ。2時間のインタビューは、また学びの宝庫でした。
— 近藤弥生子 YaekoKondo @オードリー・タンさん書籍📚執筆中 (@yaephone) August 21, 2020
本を書くために、私自身が勉強しなければならないことだらけです。#オードリー・タン #唐鳳政委 #AudreyTang#臺灣當代文化實驗場 #CLAB #空總 #TaiwanContemporaryCultureLab pic.twitter.com/j6JKRsdraJ
人との違いに悩む心に、光を差し込んでくれる存在だから。
詳しいことは生い立ちについての章で書きたいと思いますが、オードリーさんは幼い頃から突出した天賦の才能の持ち主だったため、周囲の嫉妬から壮絶ないじめに遭った経験があります。
また、先天性の心臓病を患ったことから、怒ったり笑ったりと感情的になると倒れてしまうので、情緒をコントロールすることを覚えるなど、幼い頃からすぐ隣に死を感じながら生きて来られています(12歳の大手術で大幅に治ってはいるそうです)。
そして20歳のころに男性ホルモンの濃度を検査して、だいたい男女の中間だったこと、トランスジェンダーを公言し、入閣の際には性別の欄に「無」と記入しています。
このように“大多数の人と違うトピックをたくさん持ち合わせている”という点で、日本ではマイノリティの希望として紹介されることが多くなっています。
ただ、彼女は私のインタビューにこう答えています。
「複数のコミュニティーの中で、どちらかが主流ということではないのです。主流しかない世界は恐ろしいと思います」
(出典:「国民が参加するからこそ、政治は前に進める」――38歳の台湾「デジタル大臣」オードリー・タンに聞く)
こんな言葉に接するうちに、「マイノリティ」という言葉の使い方に気をつけなければならないという思いが、私の中に芽生えてきました。
だからこそ、オードリーさんが発する言葉たちは、諦めてしまいたくなるほど出口が見えずにもがいている方の心に差し込む光になり得る、そう思ったのです。
彼女がメディアや登壇などで人からアドバイスを求められたときに必ずといっていいほど引用する歌の詩があります。
それこそが、カナダのシンガーソングライター・詩人、レナード・コーエン(Leonard Cohen)の歌「Anthem(アンセム)」の一節。
“There is a crack in everything
That's how the light gets in”
(拙訳:すべてのものには裂け目がある
裂け目があるからこそ、そこから光が差し込むことができる)
一部抜粋:Leonard Cohen「Anthem」
この歌に出合ったのはオードリーさんが成人した後だったそうですが、大好きで、いつもよく聴いているそうです。
私には、今の日本にこのオードリーさんの言葉を届けることは、とても大切なことなのではないかと思っています。
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