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生まれ変わりつつある王子「柳小路商店会」

 京浜東北線の王子駅前に「さくら新道」(火事になってJRを停めたことで有名になってしまった)と「柳小路商店会」(通称:柳小路)という二つのディープな飲食店街がある。王子の職場に勤務時代、前者は地元の常連さんばかりで行き辛くて足を踏み入れなかったが、後者には同僚たちとよく飲みに行った。今はなき「庄助」(今の「集っ子」のあたり)にはギターの流しが来ていたし、現場の顔見知りが「三和」で「もっと(焼酎を)濃くしてくれ」などとお店に懇願していた。河豚を出す「菊の家」に「連れて行ってくれ」と一番偉い上司にいくら頼んでも、絶対に女子社員以外は連れて行ってくれなかった。自分たちは、今も残っている「旅路」のカウンターで、残業後に気の合う仲間で呑んでいた。「松茸の土瓶蒸し」が300円台で提供されるのが嬉しくて、よくオーダーした。

 しかし時は流れて、お店の大半は入れ替わり、今はカフェや喫茶店もできた。お酒を飲むためだけの街区ではなく、昼間にも人が訪れる街となった。そんな中で「サクラピアス王子珈琲焙煎所」ができた。小さいながらもジャズの流れる瀟洒なお店。お店の方はすごく元気で別嬪さん。食事したい人にはホットサンドなどの軽食やスイーツも出すし、珈琲も水出しやハンドドリップなど美味しい。他にも今風のダイニングバーなどが軒を連ねる。夜に向けて妖しく閉ざされていた街が、真っ昼間に開かれていく。柳小路も変われば変わるものだ。

https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132303/13258284/

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