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摩耶雄嵩「化石少女と七つの冒険」

摩耶雄嵩「化石少女と七つの冒険」(徳間書店)。前作「化石少女」の続編。電子書籍版はこちら↓

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 百年以上の歴史を持つ京都の名門私立、ペルム学園。なぜか次々と学園内で起こる殺人事件。その古生物部は、部長の三年生・神舞まりあと平部員の二年生、桑島彰の二人だけ。化石オタクのまりあだが、事件発生になると熱血探偵に早変わり。事情があって彼女のお守り役となっている彰。いつもいい線突いているまりあだが、彰が推理の矛盾をバッサリ指摘。そこに美少年の後輩・高萩が入部した。

 学園に存在するクラブがユニーク。古生物部をはじめ、恐竜部、バイク部、ハーブ部、変装部、俳句部、幽霊部、タイ飯部、獣弓類部、ケルト研究会。そこいらの高校ではあり得ない変な部ばかり。おまけに名門校と称しながら、立て続けの連続殺人事件(こんなに起こったら、ふつうは閉校だろう)。

 能天気なヒロインのまりあ。ユーモラスで非現実的な展開が続く。しかし登場人物たちには忌まわしい秘密があり、徐々に戦慄の展開が始まる。そしてエンディングに近づくに連れて、身の毛がよだつ結論が用意されている。隠された主語が、いつのまにか入れ替わっている著者によるマジック。学園漫画っぽく読んでいた自分が、すっかり騙されていたことを気づかされる。これって実はホラー小説⁈ 今回はハッキリ結末が用意されている所が、前作とは一味違うポイント。

1️⃣古生物部、差し押さえる

・理科室で刺された一年生の美少女。密室殺人のカラクリにまりあが挑む。

2️⃣彷徨える電人Q

・学園七不思議が九つ。七つに残るサバイバルで、殺人事件が発生。

3️⃣遅れた火刑

・「京都の女子高生が新種の恐竜を発見」。ニュースの主はまりあ。文化祭で世紀の発見の発表準備中に、隣室で書道教師が焼死。

4️⃣化石女

・殺された女子生徒のダイイングメッセージは「化石女」。となると学園で思い浮かべる顔は。。。

5️⃣乃公出でずんば

・制服を盗まれた彰。ところが殺された女生徒が着ていたのは彰の制服。

6️⃣三角心中

・学園の大クスノキに、男子1人と女子2人の死体。心中か、無理心中か?

7️⃣禁じられた遊び

・告白してきた女子が囁く「あなたの秘密」。彼女は魔女狩り風に殺された。

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