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今の職場で得たもの「足で稼ぐ」

今の職場で働いて得た最も大きな収穫。それは「足で稼ぐ」ということ。新たな職場で相撲担当となった。その仕事の一つに185千円の相撲浮世絵画集「大相撲錦絵」を売るというミッションがあった。これが簡単には売れない。国技館など『ここで売れずに何処で売る』と思うような場所でも、そうは売れなかった。
進退に窮した私は、浮世絵店ルートに飛び込み営業を始めた。これを思いついたのは、愛読誌であるベースボールマガジン社の雑誌「相撲」に神保町の浮世絵店の広告が掲載されていたからだった。『そうだ、この手がある』。飛び込み営業のセールスは、社会人になった時に経験がある。曲がりなりにも28年間を出版流通業で過ごした意地もある。『なんとか1セットでも売ろう』と自らに命じた。東京の浮世絵店はほぼ神保町と銀座に集中している。重さ5kgの本をリュックサックに担いで「この本を相撲浮世絵のお好きなお得意さまに薦めてもらえませんか?」と頼んで回った。もちろんほとんどのお店で相手にされなかった。しかし中には本の中身をじっくり見てくれて、率直な感想を述べてくれた方も何人かいた。
なかなか受注を挙げられずに、神保町をトボトボ歩いている際に、八木書店が浮世絵を扱っている看板を見た。『社長に面識がある』と思い、連絡を取ってみた。「大相撲錦絵」の販売を打診すると「うちには総合営業部という部門があり、そこで扱ってみましょうか?」という地獄に仏の回答があった。ここで売れたのである。主に大学図書館それも海外からの受注が多かった。潮目が変わったのか、他の販路からもオーダーがあがってくるようになった。八木社長のご厚意というラッキーな面があったが「成せばなる」ということも実感した。
http://www.tokuma.jp/topicsinfo?tid=14956

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