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大下英治「小泉・安倍vs.菅・小沢」

政治ノンフィクション電子復刻。大下英治「小泉・安倍vs.菅・小沢」(徳間文庫)。小泉内閣誕生後の再選と再選後の衆議院選挙をルポ。
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 政権奪取を目指して動き出した民主党の鳩山由紀夫。自らの党首生命を投げ打って、自由党の小沢一郎に合併を提案する。快く引き受けた小沢一郎だったが、民主党サイドは反対意見が多くまとまらない。鳩山由紀夫を党首の座から引きずり下ろした菅直人。小泉自民に対抗するには合併しかないとわかっていながら、党内をまとめきれない。自由党側の全面譲歩を前提に、何とか合併は成立する。この合従連合で、民主党は党勢拡大のみならず、小沢一郎という社会的信用をも得たことになる。
 一方の自民党は小泉再選を巡って、反主流派でありながら最大勢力である橋本派は分裂の末、藤井孝男を総裁候補に送り出す。反小泉の急先鋒である江藤・亀井派も亀井静香が総裁選に名乗りを上げる。最小派閥の高村正彦も推薦人20人を集めて出馬。結果的に青木参議院議長の支持を得た小泉純一郎が前回に引き続いて圧勝。総裁選後の党人事と組閣で、小泉純一郎は、退任要求を迫られていた盟友の山﨑拓幹事長を副総裁にしたものの、竹中平蔵は経済財政、金融担当の両大臣に留任させた。そしてまだ当選3回で国民的人気にある安倍晋三を幹事長に抜擢して、自民党の世代交代を世間に印象づけた。
 そしていよいよ政権を賭けての衆議院選挙。選挙運動中のマスコミ報道にも影響される選挙結果。マニュフェスト選挙という形で先手を取って、民主党を自民党と対等に見せた菅直人マジック。プリンス安倍晋三を擁して清新さをアピールする小泉流プレゼンテーション。全国各地で自民党の候補者と民主党の候補者が鍔迫り合いを演じる。結果的に民主党は大きく議席を増やしたものの、自民党も追加公認を含めて単独過半数を獲得。両方の勝利という形に終わる。このことで真の戦いは一度延期とあいなった。そしていよいよ政権奪取に向けて、民主党は期待というエネルギーを身に纏ってゆく。

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