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「BS大相撲どすこい研」のテーマ「突っ張り」

5月7日に放映されたNHK-BS「BS大相撲どすこい研」のテーマは「突っ張り」。当日の司会は今田耕司、ゲストはいつもの稀勢の里(二所ノ関親方)、市川紗椰女史に、特別ゲストはボクシング界から元WBCバンタム級世界チャンピオンの山中慎介氏。

https://www.nhk.jp/p/dosuken/ts/G9W71XY6L3/episode/te/8PM4KP7XKX/

 この日に主に取り上げられたのは現役力士では突っ張りを代名詞とする阿炎と大栄翔、親方では九重親方(千代大海)と錣山親方(寺尾)。大栄翔は回転に重きを置いている。更に相手の右首元を突くことで相手の身体を浮き上がらせ、ダメ押しに腹を突く。阿炎からは距離感の大切さが強調。九重親方によれば、それは110cmとのこと。但し、それも相手によって取る距離を変えていた。例えば対朝青龍戦では、廻しを取らせない微妙な距離で近接していたとのこと。更に相手に当てる掌の部分を変えるところで戦術を変えるという、二所ノ関親方もビックリの驚愕のテクニックが披露された。また錣山親方は回転を上げるために「引き手を早く」がポイントと指摘。ちなみに現役時代は5秒間に20発の突っ張りを回転させていた。そのために毎日2,000回(通常力士は500回)のテッポウをこなす努力を重ねていた。山中慎介氏がスタジオで実践した結果は5秒間で25回のパンチだった。しかし山中慎介氏は「今のパンチは意識して回転数を上げただけで、寺尾関の突っ張りは全力で当てているので比較にならない」と称賛。一方で突っ張りは相手に引き落とされる可能性も多く、リスクも高い点が九重親方から指摘されていた。

 単純な技のようで実は奥が深かった「突っ張り」。出演者たちも言っていたが「目から鱗」。そして最も感動したのは錣山親方と阿炎の師弟愛。錣山親方は幼い頃のA Babyという自身のニックネームを阿炎の四股名に与えていた。それはやっぱり「自分の相撲に取り口が最も似ていたから」との弁。阿炎自身も「師匠の相撲を継ぐと思っている」。画面を観ていて錣山親方がどんなに阿炎を可愛く思っているかが伝わってきて落涙。逆に阿炎がキャバクラ通いで謹慎処分になった時に、どんなに錣山親方が心を痛めただろうと思う。「調子に乗らないように厳しくする」と語っていた錣山親方の、ことばの奥にある愛情が聞いていて胸にジーンと来た。

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