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30のQ &Aに寄せた角界改革論

西尾克洋「スポーツとしての相撲論 力士の体重はなぜ30キロ増えたのか」(光文社新書)。電子書籍版はこちら↓
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全体を三部構成として、さらに30の質疑応答という形の相撲ガイドブック。それも初めて相撲を観る人のための入門書ではなく、ある程度観て知識を持った人向け。相撲に興味を持った人が、より理解を深めて、さらに相撲を愛するための手引書である。そしてQ&Aの形は取っているが、その回答に角界の課題への著者の見解と積極的解決の提言が盛り込まれている。これに加えて巻末に「幕内力士42人の紹介・解説」が付録。
 第一部は「相撲というスポーツ」。ここでは白鵬の強さの秘密、歴代最強の力士は誰か、立ち合いの変化や駆け引きの賛否、体格の大きさと勝敗への影響など、誰しもが感じる素朴な疑問を取り上げる。第二部は「力士という生き方」。力士の給料、入門条件、一日の生活、スカウト、ケガなど力士の実像をリアルに解説。第三部では「変わる相撲界」。若い人の相撲離れ、八百長や貴の乱など過去の事件、年寄名跡の取得、公傷制度の復活、総当たり制の是非など角界や協会のあり方への疑問と問題提起がなされている。概ねはこれまで協会の取ってきた施策を肯定はしているが、言うべきところはしっかり主張しており、共感するところ大である。

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