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杜子春と青空文庫

芥川龍之介「杜子春」(青空文庫)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B009B080WA/
 僧侶である従兄とSNS上でのやりとりをしている時に、彼から「杜子春」を例に出すコメントがあった。ずいぶん前に読んだっきりであらすじさえ忘れかけていたので、もう一回読んでみた。
 唐王朝の都である洛陽。春の日暮れに西門の下に杜子春という若者が一人佇んでいた。大金持ちの家に生まれたが、放蕩三昧のうち一文無しに。西門の下で老人に出会っては黄金を掘り出し、再び大金持ちになっても遊び暮らして同じ境遇に。富んでいる時は数多の人が寄ってくるが、文なしになると人が引いてゆく。そのことに世の無常を覚えた杜子春は老人に「仙人になりたい」と志願する。
 青空文庫はボランティアの入力による著作権切れの文学作品の無料公開である。だからAmazonで発注しても無料である。元の職場であるブッキングで、青空文庫と組んでオンデマンド出版を志したこともあった。今は亡き富田倫生氏たちの呼びかけで始まった画期的な試みだった。コンテンツで食べている出版業界からは反発もあった。しかし明らかにインターネット時代の新しい文化のパイオニアであった。

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