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「ミイラ展」世界から43体が集結

国立科学博物館『特別展ミイラ「永遠の命を求めて』いわゆる「ミイラ展」を観覧。「世界から、43体が集結!」ということで、高まる期待を胸に上野へ。天候も良く、上野も、科博も大賑わい。
 ミイラは南北アメリカ、エジプト、オセアニア、ヨーロッパ、そして日本。われわれが思い描くミイラは、グルグル巻きにされた包帯が解けているミイラ。しかしそれは、あくまで古代エジプトのミイラである。他国のミイラは違う。例えばインカ帝国のミイラは顔の刺繍を施した布で覆ってあり、パプア・ニューギニアのミイラは炎で燻製されている。ヨーロッパや中国はミイラの習慣が薄く、作ったミイラではなく、自然にできたミイラ。ミイラと言っても、各国の習俗で製法や埋葬方法が変わっている。エジプトミイラの製法は、最も詳しく解説されていた。死後2日くらいの死体から、内臓や脳味噌を抜いて、塩や炭酸カリウムで腐敗を防いで、洗浄後に香油を塗ったりする。これをミイラ職人が70日間もかけて、仕上げてゆく。生々しい描写であった。ヨーロッパのミイラは、自然発生の物。犯罪者の処刑や生贄の成れの果てということで、観ていて心が寒々しくなる。原住民であるアイスマンのミイラも紹介。意外にも中国にミイラ文化がないのは、鳥葬などの習慣のせいか。最も豪華なのはエジプトのミイラ。科博にはレプリカ展示だったが、何しろツタンカーメン王というスターがいる。三重にもなった棺桶も棺桶も豪華。隼や猫など動物も一緒にミイラとなって、お供している。日本のミイラも壮絶。福島県の即身成仏、自らを実験台にミイラになった植物学者など。
 最初で触れるべきであったが、そもそもミイラ作りの目的は、死者の魂が生き続け、身体に帰ってくる際に行き先を確保したということが多い。死への畏れと、復活への期待がミイラに込められていたということだろう。展示されたアメリカのミイラたちは子供の物が多く、逆縁を悼んだ親が注いだ愛着が感じられる。そういうところで、ミイラを巡る人間くささが感じられる展示でもあった。今回の展示は研究という意味合いも強かったようで、ミイラをCTスキャンにかけて構造の調査にも取り組み。その結果、ミイラにする際に人工的に手を加えた跡などが発見されている。触れれば崩れかねないミイラの取り扱いは、さぞかし神経を使ったことだろう。会場には女性客、子供の姿も目立つ熱気だった。既に30万人もが観覧していると聞く。展示は2月24日まで。
https://www.tbs.co.jp/miira2019/

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