見出し画像

ミナペルホネン 皆川明 つづく

東京都現代美術館の「ミナペルホネン 皆川明 つづく」を観覧。友人に薦められて行ったのだが、リニューアル後の東京都現代美術館いわゆる現美にご無沙汰だったので、行ってみたかったのだ。ここは、球体関節人形、怪獣特撮、合田誠に山口晃など、とんがったテーマを扱ってきたので大好きな美術館。建物自体はさして変わっておらず、いったい何をリニューアルしたのか?という印象。
 「ミナペルホネン 皆川明 つづく」は、ファッションデザイナー皆川明氏による、25年間の活動集大成の展覧会。会場入口には壁一面のカラフルなクッション。そして次のコーナー「タンバリン」は、ミナの代表的な25個の円を描く刺繍柄。いずれも均一でないというのがいい。「洋服の森」は25年分の400着を深山の杉木立のように整然と展示。「風」のコーナーでは山形、沖縄、東京、パリでミナの服がどう日常に使われているかの映像資料。その自然な存在感を、寡黙に淡々と伝える。「芽」は、皆川明とインハウスデザイナー田中景子による生地のためのデザイン画。マチスやミロやクレーのような自在な絵画。そこにはファッションという制約から解き放たれた世界がある。「種」では、洋服から造形に飛び出して行ったミナの世界が「シェルハウス」のような住居ユニットもプロトタイプを提示している。「洋服と記憶」では、使い始めてからの年数で切り取った、持ち主の記憶を洋服と一緒に振り返る。その切実な思いに、落涙禁じ得ず。そして破顔一笑も。最後の「空」では、皆川明氏がミナにおける「作り続けること」「多様なこと」の貴重さを映像資料で説き、その25年の歩みが年表化されていた。
 とにかくディスプレイがすごい。もちろん会場のサイズが確保されていることもあるが、こんな風な見せ方があるんだという意味で衝撃的。そして服というカンバスに自在に描かれる絵画。デザインは既存の枠をはみ出したり、原点に回帰したり、いつも世界を作り変えているのだと痛感。会場に押し寄せている女性たちは、ミナの服に強い思い入れを持っている。エルメス、イブ・サンローラン、クリスチャン・ディオール、コム・デ・ギャルソン。これまでの既製のオートクチュールブランドって、いったい何だったんだ?と思う。会場の女性たちの服装も髪型も、どれも色とりどり。展示された洋服や絵画が見事なだけでなく、来場者たちも見事な景観。ちなみに会場内の作品は、動画以外は撮り放題で、SNSアップもOK。どうすれば現代では発展するのか、皆川明氏は村上隆と同じくらい、よくわかっている。それが世界のスタンダードになったのだ。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/minagawa-akira-tsuzuku/
- [ ]

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?