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タタツシンイチ「マーダー・アイアン 絶対鋼鉄」

徳間SFコレクション電子復刻第6弾。タタツシンイチ「マーダー・アイアン 絶対鋼鉄」(徳間書店)。第7回日本SF新人賞の受賞作。  
 前世紀末のバブル景気を発展させ、歪な経済大国としての繁栄を続ける日本。しかし先進国としては唯一、自前のサイボーグ部隊を持たず、外交上の不利を忍び続けていた。そんな中、米軍サイボーグ部隊「UNDEAD HEROES」に対し、日本のハイテク公安「封鎖技研」の長、臀壮一の暗殺指令が下された。ハロウィンを間近に首都・新東京への潜入を果たした彼らの前に、臀は戦闘アンドロイド「タケル01」を伴って現れる。「UNDEAD HEROES」を新東京におびき寄せ「タケル01」の圧倒的な戦闘力により、サイボーグの時代に終焉を告げるための策略だった。今まで誰も見たことがないサイボーグvsアンドロイドの壮絶な戦闘の火蓋が切られる。
 安保条約の傘の下にいて、東アジア隣国たちの領海侵犯に悩まされ続けている、どこかの国の鬱憤を晴らすような夢物語。個性豊か過ぎる放埒な登場人物、いやサイボーグだから登場キャラたちと呼ぶべきか。文字で綴る、ゲームというか、漫画というか、二次元歌舞伎というか。突然に2ちゃんねるみたいに横書きになったり、伏せ字が濫発、差別用語が満載、意味不明の絶叫が噴き出したり、枠で囲まれた文章レイアウトが散見など。『これは編集者やブックデザイナーが苦労しただろうなあ』と苦笑いしたくなるような、荒唐無稽の文体。言いたいことは「Japan as No.1」か。それともエコノミックアニマルへの自虐なのか。よく選考委員もこんなに突飛な作品を受賞作に選んだなと、当時を思いやる。「UNDEAD HEROES」のキャラクター。著者はあとがきで、石ノ森章太郎先生の有名SF漫画をパクったと公言している。001赤ん坊、002高速リンク♂、003千里眼マレッタ♀、004鉄人レオ♂、006火龍チャン♂、005死神ドレイゼ♂、007カメレオン・キャシィ♀、008海人マーチン♂、009電光ノーマン&電脳アイヴァン♂。何の漫画か、おわかりですよね?
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