オリラジ藤森慎吾「PRIDELESS」
藤森慎吾「PRIDELESS」(徳間書店)。ここのところ徳間書店では、中田敦彦の著書「中田式ウルトラメンタル教本」「幸福論」が上梓されていた。その2冊に続く、オリエンタルラジオの相方である藤森慎吾による出版である。
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今や知的芸人として、若い女性に大人気のオリラジことオリエンタルラジオ。自分はお笑いには、あまり詳しくないというか、ほぼ無知である。彼らのデビュー=出世作である「武勇伝」をYOUTUBEで視聴した。たしかに抜群のスピード感とリズム感。漫才というよりユーモラスなラップみたい。視聴者が新しい芸風として支持した気持ちもわかる。既に結成17年目に入ったコンビであるが、今回はツッコミ役の藤森慎吾が、ボケ役かつネタ作者である中田敦彦との出会いをきっかけに、自分の芸人人生のポリシーをどのように探り、確立してきたかを語る。
藤森慎吾自身の言葉を借りれば、天才・中田敦彦と凡人・藤森慎吾のコンビであるオリエンタルラジオ。ネタもコンセプトも戦略戦術も全て中田敦彦が考える。そこに引っついて、くっついて、従っていったコンビ始動。天才についてゆくのがやっとだった凡人。芸人学校「東京NSC」在学中に「中田伝説」というネタを「武勇伝」として、初挑戦のM1で準決勝まで進む鮮烈デビューを果たした。そこからレギュラー番組をいくつも持てた。しかし地獄はここからだった。充分な鍛錬期間もないままスポットライトを浴びたため、もともと実力がないことを曝け出した。レギュラー番組は次々と減ってゆき、ついに何もなくなった。そんなどん底時代を救ってくれた、先輩芸人からのアドバイスが二つあった。一つは次長課長の河本凖一「(一生懸命やっていれば)見捨てへんから」という励まし。もう一つは「笑っていいとも」でのタモリが藤森慎吾に与えた「チャラ男」というキャラクターだった。
自らを「チャラ男」と認識した藤森慎吾は変わった。そもそも天才は中田敦彦。自分の能力のなさを認識し、常に人の助けを借りる。とにかく他人を褒める、穏やかに生きる、どんどん人に交わって吸収する、回ってきた仕事は何でもチャレンジしてみる、そりの合わない人には近づかない。本書のタイトルである「PRIDE」を徹底的に捨てる。その境地はもはや弥勒菩薩の世界。200頁以上の藤森慎吾の述懐は、あっという間に読める。しかも気負っていないから、軽やかに読める。彼が言う通り、大概の人の悩みは「人間関係」。この本で語られるような人生を生きることができれば、心穏やかで順風満帆な人生を送れるだろう。オリエンタルラジオは、吉本興業という傘の下を離れた。更に中田敦彦はシンガポール移住。YOUTUBEやダンスや歌などに活動の幅を広げる二人にとって、新たなる試練と飛躍の場が待っている。
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