浅草公会堂「歌と踊りの饗宴」で「深川マンボ」復活
浅草公会堂で開催された「歌と踊りの饗宴」。舞踏家で演出家の村尚也氏のグループ「おどりの空間」が結成40周年を記念して構成。この日の公演は、日舞を洋楽で踊る舞踊ショーである。そのオリジナルは、日舞の初代・西崎緑(1911~57)にさかのぼる。西崎は洋楽と邦楽を合奏アレンジし、ショーアップされた舞踊で、テレビや劇場で一時代を築いた。没後65年の今でもその遺志は引き継がれている。この日の東京エキゾチカの演奏にも、民謡の和旋律が巧みに編曲されて、和洋折衷のエンタテインメントになっている。
公演は「音のティスティング」「スパークリング和韻」「フルボディ和韻」と三部制で構成。応援している東京エキゾチカwith真由子が出演しているので「フルボディ和韻」の部を鑑賞。今回の目玉は、宝塚や歌舞伎で人気の「深川マンボ」が65年ぶりに復活。「深川マンボ」は邦楽「深川」を洋楽にアレンジしたアップテンポなナンバー。長谷川一夫や女優・歌手の朝丘雪路が何度も踊ってきた。花道まで使った当日のコミカルな演出に会場が沸いた。
この日は第2部の終盤から会場に入ったが、まずもって「ちゃきやきトリオ」ヴォーカルのEmmeの歌唱力に驚嘆。そして第3部が始まった。そこからは民謡歌手が歌う。ポップス歌手はプロと言えるシンガーがどの程度いるのか疑問。しかし民謡歌手はプロだ。基礎がしっかりしているから、「NHKのど自慢」で入賞するのは民謡を習った人がほとんどだ。真由子ファンの自分としては『大丈夫か、真由子?』と不安になる。4曲目に真由子が和服姿で登場。両親を紹介する司会のアナウンスを受けて、朝丘雪路譲りの俗曲3曲を歌う。俗曲とは、寄席や酒宴の席で三味線に乗って唄われる短くて軽い曲で、都々逸、かっぽれ、小唄、端唄、民謡など。舞台にいるのは真由子だが、目を瞑るといつの間にか朝丘雪路が再臨している。艶やかにして、どこか剽軽で、それでいて品が良い。しかもジャズ乗りのパンチの良さで、決して民謡歌手に負けていない。すごいぞ真由子、充分に聴衆を魅了したじゃないか。
当日は以下がセットリスト(★☆は真由子)。
①はんや節
②大漁船
③ソーラン節
★真由子の俗曲
☆④奴さん
☆⑤さのさ
☆⑥どんどん節
⑦いもがらぼくと
⑧深川(マンボ)
⑨真室川音頭
⑩会津磐梯山
⑪ 串本節
⑫ 相川音頭
⑬ 皿踊り
⑭ 八木節