短歌の記録3

短歌の記録1と2はこちら

引き続き記録です。
2週間に1回だったものが月に1回になりました。
1つのお題に対して考える時間が増えるかと思いましたが意外とそんなこともなく、たまにふと考える時間ができるだけになりました。
全然悪い意味じゃなくて、生活の中にそういう時間を気負わず取るようになったなあとしみじみ嬉しく思っています。


「赤」

夕焼けに染まったあの日の公園で
一番高く飛んだのはキミ

ノスタルジックな情景を想像して詠みました。
自分で詠んだあとにはジャングルジムから飛び降りたり靴飛ばしたりでもいいなあとは思っていたのですが、最初はブランコをイメージしていました。歌会中では汲んでいただけていたようで、よかったです。
「染まった」「あの日」「飛んだ」昔を思い返していると強調したくて過去形の言葉を選びました。
夕方の公園ってどうしてこんなに懐かしいんでしょうね。ただブランコを思いっきり漕ぐだけのことがどうしてあんなに楽しかったんでしょうね。

駆け抜けろ
自由を手にした世界線
赤信号では止まらない羽根

没にした方です。でもこちらも気に入っています。
羽根を手に入れた私は信号なんてもの(世間のルール)に縛られないわ、というきもちです。
でもそれは、勢いがあるように見えても、今自分が生きている世界線ではありません。叶わないifに思いを馳せています。鳥になったか、天使になったか。そうでもならないと自由にもなれないなあ、と思っているのです。

「中秋の名月」

十五夜に跳ねるうさぎを見てぽつり
風流なのは今夜だけだよ

自嘲の気持ちが少しあります。
うさぎは年中好きに跳ねているだけなのに、今夜だけは「風流だな」なんて思われて、人間は随分と好き勝手に解釈するもんだと思います。お月様も満月だけ持ち上げて、ピークは一瞬なのかしら、なんて。
まあそれでも満月を綺麗だなあと思うし、十五夜にうさぎが跳ねていたら風流だなあと思うんですけどね。斜に構えずに楽しめるといいですね。満月じゃないお月様も綺麗だなあと思えるといいですね。

どう見てもうさぎは居ないから、と言い
月より団子頬張る我ら

よく考えると上の歌とマインドが似ているかもしれません。
でもどちらかというと子どもの頃の「え~どう見てもうさぎじゃないでしょ~いいからお団子食べよ!」くらいのきもちです。ただの花より団子です。大人になると「花より団子、より花」になりませんか?私は意外とそうなりました。今年の名月も、空を眺めておお、綺麗だねえ、なんて思いましたよ。お団子も食べましたけど。

「窓」

ビルたちは車窓をビュンと飛んで行き
ただ月だけと見つめ合う帰路

通勤電車で帰るとき、たまにぼーっと外を眺めることがあります。
ビルは爆速で通り過ぎていくのでほとんど追わず、じっとしているお月様を見つめることが多いです。
小さい頃はお月様がついてくると思っていたんですが、いつの間にかそうではないことに気づいていました。
少しの疲れと寂しさを滲ませていられたらいいなあと思います。

プール後の窓が切り取る青い絵は
夏を運んで髪を乾かす

学校の授業でプールやったあとの国語とかみんな寝るよねえ。
プールの授業は得意ではなかったですが、あのまどろみはよかったなあと振り返って思います。お題「青」の時に考えていたものをすこし流用しました。

「白」

純白のベールに包まれ目を伏せた
あなたに僕は再び惚れる

先日友人の結婚式に出席してきました。お姫様だなあとしみじみ噛み締めました。ただストレートに詠みました。結婚したいくらい好きな人がお姫様として目の前に居て惚れ直すの最高ですよね!!!のきもちです。
歌会ではウェディングドレス被りするだろうなと思っていたのですが全然かぶらなかったのでちょっと意外でした。クリシェかと思っていました。

光差し全ての色を反射して
本体はもう輪郭もない

白い光とは何か、からそのまま考えました。
光が差しているのが希望かのように思えるんですが、その光が強すぎて本体側が消えてしまいました。希望につぶされてしまう苦しさをもう少し出せたらよかったなあと思います。

「抱」

腕の中もぞもぞしてる幸せを
微睡みのまま抱きしめる朝

幸せは読み手の幸せを当てはめてほしいです。
恋人でも犬でも二度寝という概念でも可。
あたたかい光に包まれている情景を思い浮かべて詠みました。
最高の朝です。


今年は人生で初めて歌集を買って、初めて短歌を読んで泣いて、初めて自分で短歌を考えて詠んで、たくさん短歌に触れた1年でした。
ほかのnote記事でも触れた気がしますが、まさか自分がこんなに短歌を好きになれる日が来るなんてびっくりです。いつ何がきっかけになるかわからないものですね。たくさん詠めて楽しかったです。
来年も適度に続けられると嬉しいです。

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