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「怪物」観てきました #127

 映画の日を利用してやっと怪物観てきました。実は初鑑賞の是枝監督作品。以下ネタバレありの感想です。


 おそらくすでに色々な所で書いている人がいると思いますが、この作品は3人の視点で描かれます。始めはお母さんの視点からスタートします。様子がおかしい息子から先生からいじめられていると聞き、学校に乗り込みます。で担任の先生や校長先生など、あからさまに態度が悪いです。謝れば済むんだろう? みたいな。お母さんをモンスターペアレンツ扱いで、なんだこいつらは!? て思いますし、正直完全にお母さんの味方になってましたよね〜。

 ここで視点が変わり、保利先生の視点になります。観ている方としたらどんな糞先生か見てやるよみたいな感じで構えていたんですが……あれ? 普通に熱心ないい先生じゃない?? キャバクラ行ってたとか噂されていましたが、行ってないですし、喧嘩を止めようとしてたまたま肘が当たっただけで、確かに接触かて思ったり笑。どちらかというと先生は児童、学校、保護者と三人から攻められていることに。先生不運すぎる。先生視点で見ると、お母さんに素直に謝れないですよね。てか、謝る必要も感じないですし。それであの態度かあと納得。先生にとっては母親や学校、児童の方がよっぽど怪物に見えたに違いありません。

 最後に湊たちの視点になります。ここでようやく物語の全容がわかってきます。結局のところ、湊が嘘をついていて、闇はもっと別の所にありました。いじめは確かにありましたが、湊ではなく、依里が他の児童からいじめらていました。そして湊は依里に対して友達以上の感情が芽生えていることに気が付きます。その感情を隠すためにあの行動を取っていたんですね。突然変なことをする子供ではなかったのです。突飛な行動や意味不明な言葉で怪物ぽく感じるかもしれませんが、実はそうではなく、ちゃんとした理由があったんですね。また依里はもっと深刻な……いえ、依里の家庭はもっと深刻な問題を抱えていたんです。さあ、ここまでくると一体誰が怪物だったのか、完全にわからなくなりますね。。

 誰が悪いとか善いとかそういう問題ではないもっと複雑な、それでいてシンプルなことだということに気づくのです。みんな自分ないし自分の世界を守るために動いた。その結果、ああいうことになってしまっただけ。最後、湊たちがどうなったのかは色々な考察があると思います。が、ボクはそこはあまり重視していません。2人は実は土砂に巻き込まれて死んだのか、それとも普通に脱出できたのか、そこら辺は観客に委ねるという感じでしょうか。

 この映画で「怪物だーれだ?」というフレーズがでてきますが、実際は湊と依里のゲームでした。怪物(動物)のカードを自分には見えないように頭に掲げて、何の動物を持っているか当てるゲームです。みんな自分の中の怪物には気づかないんです。怪物だーれだ? の怪物は、この映画を観ていたボクたちなのかもしれないですね。観ている視点によって人は怪物にもなるし、怪物にも見える、そんなテーマを感じた作品でした。

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