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2023-24年イベリア半島周遊その4(ジブラルタル)

 5日目の朝、数時間前に着いたばかりのマラガを後にして慌ただしく長距離バスに乗り込む。目指すは「ヨーロッパ最後の植民地」と名高い(?)、英領ジブラルタルだ。

朝のマラガ。いつかゆっくり回りたいものだ
マラガのバスターミナル

 スペイン国内からジブラルタルへの直通バスはなく、ジブラルタルの隣町ラ・リネアまでバスで行って、そこから国境を越えて入る必要がある。普段はマラガからラ・リネアまでの直通バスが出ているようだが、この日は元日とあってか直通バスは運休中。このため、まずマラガからアルヘシラスという町に向かい、そこでバスを乗り継いでラ・リネア、ジブラルタルに入ることにした。

アルヘシラスのバスターミナル

 アルヘシラスはイベリア半島の最南部に位置する町で、ジブラルタルの海を挟んで向かい側にある。モロッコやスペイン領セウタへのフェリーも出ている交通の要衝だ。ここから更にバスに乗ること40分でラ・リネアに着く。

ラ・リネアのバスターミナル
建物から出た瞬間、目の前に「ザ・ロック」が現れる

 ジブラルタルの歴史はなかなか興味深い。その岩山は「ヘラクレスの柱」のひとつとして知られ、地中海と大西洋を結ぶ要衝として極めて重要な価値を認められてきた。ローマ帝国の崩壊以降、他のスペイン領同様西ゴート王国、ムスリム勢力、スペイン王国と支配者が移り変わってきたが、スペイン継承戦争(1701-1714)の結果、イギリスに支配権が移り、現在もなお英領のままである。

圧倒的な存在感を放つザ・ロック
イミグレを抜けたところにかつてのジブラルタルの写真が飾られている
不思議なフォント

 簡単なパスポートチェックを終えていざ入国。ジブラルタルには国際空港があるのだが、この滑走路を渡らないと市街地に行くことができない。飛行機の離発着の際は踏切のバーのようなものが降りるようだ。今回はその機会には恵まれなかったが、次回行くときには是非狙ってみたい。

GTAを彷彿とさせる

 滑走路を徒歩で横断し、市内中心部に入る。広場でフィッシュアンドチップスでも……と思い辺りを見回してみたが、流石に元日ともなるとほとんどの店は休業中。仕方なくその辺りをぶらつくことにした。

年明けでもクリスマスツリーは残っている
目抜き通りと思われるが閑散としている
マリーナは例に漏れずセレブ感がある

 あらゆる店が閉まっており、これ以上町歩きをしても甲斐がなさそうということで、ザ・ロックに登ってみることにした。事前に市バスの1日乗車券を購入していたのでバス停でしばらくバスを待ってみたが、全く来る気配がない。一応時刻表は存在しているものの、実態に全く沿っていないようだ。待っている間、同じくバス待ちの観光客にジブラルタルポンドを両替してほしいと持ちかけられた。ジブラルタルでは、独自通貨のジブラルタルポンドが流通していると聞き及んでおり、是非手に入れたいと思っていたので絶好の機会だ。が、よく聞いてみると英ポンドと交換してほしいとのこと。この時の筆者はユーロしか持ち合わせがなく、泣く泣く断ることとなった。

 随分遅れてやって来たバスに乗り込み、ザ・ロックに登るロープウェイの最寄りで下車。だが、どうも様子がおかしい。ロープウェイが動いている気配がないのだ。そう、なんとロープウェイも元日のため休業中だった。これは大誤算だ。正直、ジブラルタルでやりたかったことといえば岩山に登ることと、ジブラルタルポンドを入手すること。その二つが打ち砕かれた今、当初計画は完全に白紙になってしまった。とはいえここでスペイン側に引き返しても特にアテがあるわけではなかったので、とりあえずジブラルタルの南端、エウローパ岬に行ってみることにした。

本当はこのロープウェイに乗る予定だった。無念

 バスで山道を進み、エウローパ岬までやって来た。目の前にはジブラルタル海峡が広がり、その奥には薄っすらとアフリカ大陸が見える。筆者はまだアフリカには行ったことがない。いつの日か、この海峡を船で越えてアフリカに行ってみたいものだ。

エウローパ岬と灯台
中央に見えるのがアフリカ大陸

 エウローパ岬には灯台の他砲台もあり、砲台内部はジブラルタルの歴史を解説した簡単な展示室になっている。一貫してジブラルタル海峡の説明に終始しているのが印象的だった。

簡素だが一通りの歴史は分かる
モスクもある

 しばらく岬をうろつき、再びバスに乗って市街地中心部へ帰還。そのまま国境を越えてスペイン側に戻った。なんだか消化不良のまま終わってしまったので、再訪を強く決意した。

町中を闊歩するニワトリ
無事帰還

 ラ・リネアからバスで宿のあるアルヘシラスに戻る。今回は一泊のみ、それも早朝に出発してしまったのだが、モロッコに行く際には是非ともゆっくり見て回りたい町だ。

町中の教会
広場の様子

 宿のおばちゃんに教えてもらった(元日でも開いていそうな)飯屋のありそうな界隈を歩いてみたが、軒並み休業中で困っていた矢先、超ローカルなモロッコ料理屋が開いているのを発見。この日の夕食は自動的にモロッコ料理になった。

これで7ユーロとは恐れ入った
地元に愛される名店なのかもしれない

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