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ユニティ・ダウ『隠された悲鳴』(三辺律子[訳])読了。
図書館で借りてしばらく積ん読状態だったのをようやく。読み始めたらあっという間に読めてしまった。
ボツワナの儀礼殺人の話。
あらすじや内容は割愛して、最後の章で胃がずんと重くなることだけ記しておきます。

巻末の短い著者インタビューでも文化や伝統についての項目があるけれど、異文化についてぼやっと考えてしまった。
日本にも儀礼殺人のようなものはあるだろうが(人柱なんかもその類かしらん)ボツワナという普段全く考えたこともなかった国の、そのおぞましい文化(?)も、行っている人間にとっては懸命な生きる道(それはとても自分勝手で欲深いと思うけれど)なのだと思うと、本当に人って愚かで貪欲な生き物なんだなと思う。
人も動物だと思うけれど、動物は儀式などしない。人ってやつは一体何なんだと読後しばらく沈思黙考。

権力や、貧富の差で逆らえない慣習的な空気のような「何か」というものに、その場になったら抗えないものなのだろうか。
実際の儀礼殺人を元に書かれたうんぬんというのもどこかで見たが、これはフィクションだけれどこういう現実がどこかにあるという衝撃は読み始めた時間からずっと流れていた。
知らないことを知らずに恐れるのではなくて、知らないこと自体を恐れるべきだと、こういう本を読むと思う。

三辺さんの訳本が読みたいなと前情報なしの軽い気持ちで手に取ったけれど読んでよかった。

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