【エッセイ】アルバイト

　人生初アルバイトは回転寿司チェーン店でした。年季の入った木造二階建てで、平日は通っていた専門学校の授業が終わった後の夕方から閉店ギリギリまで、土日はまずずっと働きっぱなし。店長が電車の運行情報を逐一チェックしてくれて、天気が悪いと、早めに帰らせてもらえたり、テスト前には勉強に専念できるよう半月休みをいただくなど融通が効く環境で働けていたため特別苦にはならなかった。私の担当はホールで、慣れていくにつれて一人で任されることもあった。接客スキルだけでなく、常に周囲を見ながら効率的に行動する能力が磨かれたかと思うし、こう、振り返って考えてみれば社会勉強になったに尽きる。現在も面影そのままに残っており、それどころか益々、柱やカウンターに光沢が出て歴史を感じさせてくれる。たまにだけれども客の少ない時間帯を見計らって在籍中の先輩に会いにご飯を食べに行って、仕事に支障をきたさない程度に少しだけお喋りする。