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SNS×食育

1.この記事で言いたいこと 

現在のパンデミックは、好む好まざるに関わらず、これまでよりもデジタル技術が私たちの生活の中に多く取り込まれるきっかけをつくりました。

たとえば、学校においては遠隔教育が当たり前に行われるようになり、オンデマンド、リアルタイムオンライン、さらに進んだケースではメタバース、つまりバーチャル空間(VR)での授業というものが展開されてきています。

一部の企業でも、テレワークや、ZoomやTeamsなどを用いた遠隔会議を続けているところもあるでしょう。
今後、様々な分野においてデジタル化が加速していくことは間違いありません。

これは、食育の分野も例外ではないと思います。
たとえば、最近、農林水産省は、デジタル技術を活用した食育実践のヒントを盛り込んだ「デジタル食育ガイドブック」を公表しました。「デジタル食育ガイドブック」は、 オンラインイベントや食育動画、SNSやアプリの活用等、デジタル技術を活用した食育に取り組むにあたって参考となるような例が紹介されています。

特に、SNSなどのデジタルツールは、若い世代にむけての食育において重要なキーになるはずです。

では、実際にSNSを用いた食育が活用され、何らかの効果をあげた実績があるのでしょうか?
 調べてみたところ、アメリカの研究グループなどは、約10年も前から検討をはじめています。たとえば肥満者を対象としてSNSを用いた栄養教育を試行しています。

今回は、わが国のデジタル食育を考える一助として、2013年に発表されたFacebookによる肥満プログラムの成果に関するSNS 教育の先駆けとなった先行研究を読み、勉強したいと思います。
 

⒉関連論文の紹介 

権威ある肥満症のジャーナルであるObesity (Silver Spring)で紹介されていた論文を紹介します; 
「Using Facebook and text messaging to deliver a weight loss program to college students」 written by Napolitano MA, 2013 Jan;21(1):25-31. doi: 10.1002/oby.20232.
 
和訳すると「大学生に対するFacebook とテキストメッセージを用いた減量プログラム」という感じでしょうか。
 
アメリカ人大学生の30%以上は肥満で、かつ入学から卒業までの間でさらに体重増加があるそうです。アメリカでは、若年世代から肥満がかなり大きな問題となっているということが、この研究の背景です。

研究対象者は、エントリーを希望した大学生329名から、条件をクリアした52名で平均年齢20歳、BMI31.4 kg/m2 でした。研究対象者は、 次の3つのグループに分けられました。

A. Facebookで肥満治療に関するテキストメッセージを受け取る群、テキストを受け取るグループ

B. Facebookで肥満治療に関するテキストメッセージを受け取ることに加え、食べた量や運動量に対するフィードバックを受け取り、個別のサポートメンバーがついたり、歩数計や食物を計るデジタルスケール、食物のカロリーが記載された本などが付与されたりしたグループ

C. 何もサポートを受けなかったグループ
 
8週間のFacebookを用いた肥満プログラムが実施された結果、以下のように、全てのグループで平均体重は減少しましたが、もっとも手厚い遠隔教育を受けたBグループの減少幅が大きかったです。なお、BとCの間の効果は統計的にみられませんでした(BとCの効果は同じ)

A:平均で-0.63 kg 減量 
B:平均で-2.46 kg 減量
C:平均で-0.24 kg 減量

 
つまり、テキストメッセージを送る一方通行のプログラムだけでは効果が不十分である可能性があり、双方向のプログラムがより効果的で重要であることですね。

3.今後の日本のデジタル食育についてのワタシの考察 

 いま、日本の若い世代では、若い女性の痩せが大きな問題になっています。なんと、20歳代女性の20%以上は BMI 18.5未満の痩せなのです。

痩せは、短期的には貧血、月経不順、最近では耐糖能異常(糖尿病の初期症状)の人の割合が高いこともわかってきました。

中長期的には骨折をはじめ様々な病気のリスクが増加させるといわれてきています。妊娠・出産を考える女性の場合、痩せたお母さんからは、2500 g未満の低出生体重児が誕生する可能性が高くなります(ちなみに、低出生体重児はその後の人生において生活習慣病になるリスクが高いと言われています)。
 
SNSなどを用いたデジタル教育が、このような若い世代の課題を少しでも改善することを期待したいと思います。さらには、デジタルを使いこなすミドル以降の方々へのSNSを用いた食育は重要だと考えます。
 
 ※この記事は、論文内容をかなり端折っていますので、興味のある方は本文にアクセスして確認されてくださいね。 
 
さいごまでお読みいただきありがとうございました。 
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