「関係を断つ」とは、どういうことか(読売新聞の仕事は?)

第二次岸田改造内閣。統一教会との関係が、すっきりしない。2022年08月13日の読売新聞(西部版・14版)の2面。(見出しは、ウェブ版)
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新副大臣・政務官でも旧統一教会と接点相次ぐ…パーティー券購入やイベント出席

第2次岸田改造内閣が本格始動した12日、政府がこの日の臨時閣議で決定した副大臣、政務官でも「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)と過去に何らかの接点を持っていたことが相次いで明らかになった。
 山田賢司外務副大臣の事務所は12日、関連団体から2018年4月にパーティー券2枚(4万円)の購入を受けたと公表した。大串正樹デジタル副大臣も同日、首相官邸で記者団に、過去に関連団体からパーティー券を購入してもらったと明かし、「関係は断つ」と語った。
 中谷真一経済産業副大臣と野中厚農林水産副大臣は、いずれも関連団体のイベントに出席経験があった。野中氏は、関連団体とは知らなかったとしたうえで、「付き合いは今後わきまえていく」と記者団に語った。
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 山田の「関係は断つ」、中谷の「付き合いは今後わきまえていく」とはどういうことか。だいたい「記者団に語った」とあるが、記者に語ることにどんな意味があるのか。いまの「記者団」は、たんなる宣伝マンだ。実際、ここに書かれている記事も、山田、中谷は「関係を断つ」「付き合いは今後わきまえていく」と言っているから問題はないという「宣伝」に終わっている。
 記事の末尾には、こう書いてある。
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 10日に発足した改造内閣では、7人の閣僚に旧統一教会との接点があったことが判明している。岸田首相は関係を点検したうえで見直すよう求めており、松野官房長官は12日の記者会見で「副大臣や政務官に対しても同様のことを求め、これを了解した者のみを任命した」と説明した。
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 「岸田首相は関係を点検したうえで見直すよう求めて」いるというが、「関係を見直す」の具体的な内容は、どこにも書いていない。

統一教会との「関係」をどうするか。国会は立法府である。議員は、立法する権限を付託されている。
 ほんとうに「関係を見直す」「関係を断つ」というなら「立法措置」を取るべきである。統一教会をカルト認定し、いま認めている「宗教法人」(だと思うが)の資格を取り消す。さらには悪徳商法の実態を国会で明らかにし(本来は司法の問題かもしれないが)、被害者救済のための法律を考える。
 これが「関係を断つ」ということだろう。「付き合いをわきまえる」とはつきあい方をかえるということでなければならない。単に、いままでつきあっていたけれど、それをやめるではなく、いままでのつきあいを清算し、統一教会のあり方の変更を求めるというところまで踏み込まないと、「過去を隠した」だけになる。
 岸田がやっていることは、「過去隠し(歴史の否定)」にすぎない。

国会は立法府であり、国会義員の仕事は法律をつくることで社会をよりよいものにかえていくということだ。この「基本」から出発して、国会議員と統一教会との関係に踏み込まないといけない。
 山田や中谷が記者団に語るのは「自己宣伝」である。その「宣伝」を聞いたとき、それをただ読者に伝えるのではなく、「関係を断つ」というのは統一教会にあたえられている権限を剥奪するために立法措置をとることか、そういう動きを国会で積極的に進めることか、と問い詰めないといけない。
 統一教会は、山田や中谷が「関係を断つ」というのなら、別の自民党の国会議員に接触するだけだろう。「当選の応援をします」というだけだろう。
 議員の「いいわけ」を「はい、わかりました。その旨、ていねいに読者に伝えます」というのでは、ジャーナリズムは「言論機関」ではなく、「宣伝機関」であり、ウソによって読者をごまかす詐欺集団になってしまう。

マスコミ批判、政権批判を中心に書いています。これからも読みたいと思った方はサポートをお願いします。活動費につかわせていただきます。