地域の課題とはなんぞ?

最近本をめっきり読まなくなった。悪い傾向だなと反省しています。
そんな中で手に取ったのが「凡人のための地域再生入門 地元がヤバい…と思ったら読む」でした。

私がやってきたことへの反省を促されているようで(笑)なるほどなーと頷くことの多い本でした。(そんなに悪いことはしていません)

地域って「課題」が多くて、だから「こうあるべきだ」とか「こういう風に変わっていかなければならない」みたいなことを言われることがよくあります。そういう流れに触れるたびに、なんだかな~と思うわけです。

課題だと感じているのは誰?
その課題は誰の視点からみたもの?
そもそも本当に「課題」なの?

私はこれまで何度か災害現場でのボランティアを経験してきました。その中で、被災した家を訪問してヒアリングしていくボランティアをさせてもらったことが何度かあります。家の人に「何かお困りごとはありますか?」って聞いていくんですが、たいてい的確に「コレに困っています」っていう回答はありません。

そりゃそうです。困っていることだらけですからね。何に困っているかもわからないくらい困っているわけです。
それに、突然訪問してきた良く分からない人に対して開けっ広げに困りごとを言うこと自体なかなかハードル高めです。特に日本人の気質からしてそうなんじゃないだろうかと思います。「私のところはいいから、よそのもっと困っている人に行ってあげて」… そんな感じのやりとりなので、訪問した私も「そこまで困ってないのだろう」という甚だしいミステイクを行ってしまう、という最悪の流れに入ります。
一回の訪問だけで聞き出せる情報には正確さも情報量も期待してはいけません。(凄腕営業マンとかだったら一回でいけるんかな…)

それでも諦めることなく数度通い続けると、不思議なことに玄関先までだったのが家の中に上げてくれ、次は台所や風呂場・トイレなどプライベートなところまで見せてもらえるようになります。そしてここではじめて、実はかなり大変な状況で困っていることがわかるのです。

めんどうくせえ!はやく見せてよ!
って思うかもですが、実際の災害現場で色んな家を訪問した私はこの傾向を驚くほどかなり強く感じました。(外見からみて被害がわかるところはさすがにすぐに家まで入ってます。ここでいう家屋の被災レベルは小中規模で外見だけではわかりにくい場合を指します。)

どうしてこんなに時間がかかるのか…。
うーん、一番は信頼関係だと思っています。

信頼関係がない人に対して自分の家の困りごとを他人である誰かに伝えることは、なかなか難しい。何度も顔を合わせることで、被災された方も「この人になら」という気持ちが少しだけですが芽生えてくる。その繰り返しで、こちらも本当に困っている部分を感じとることができるのです。災害という切迫した状況であってもですので、日常の困りごとなんてなおのことでしょう。

家の状況を「地域」に置き換えてみても同じだと思います。
地域にある困りごとを知りたいのであれば、地域に住む人たちに聞くのが一番です。だけど先程の災害支援の話のように「おばあちゃん、この地域で困っていることはなに?」と聞いてはなりません。そういうことじゃないのです。仮にそこで出るくらいの困りごとは、きっと困りごとではありません。

昔話を聞いたり、孫の話を聞いたり、こちらのことも知ってもらいながら、そんなことを地道に繰り返す中でポロっと出てくる本音の言葉のなかにこそ本質的な困りごとのヒントがあったりするもの。

ここまできてもまだヒント!?
あー!めんどー!笑

そうなんです。地域というものは想像以上にめんどうなものなのです。
めんどうくさいものにこそ価値がある とか何とかいう名言をお偉い誰かが言ったとか言わないとか。

要は簡単には課題なんて見つかるもんじゃない、ということです。よくある外部の地域創生アドバイザーだか誰かがもっともらしい課題を(勝手に)設定して(勝手に)動き出すというパターン。そりゃあうまくいかんぜ。
やってる感はあるしメディア受けも良いんだけど、中身がないことも多々あります。

大なり小なり課題は確かにある。だけど、それらが本質的な困りごとであるのかどうかの判断は結構大事になってくる。その判断をするには、ある程度の信頼関係が必要だよ、ということです。

そもそも、全ての地域が盛り上がりたいわけではないし、積極的に活性化したいわけでもない。何もして欲しくない地域だってたくさんある。これらを地方に来て嫌というほど感じましたので、その辺も頭に入れておくことが必要かなーと。

まとまらなくなってきましたけど、何をするにしても本当のことを知りたいならじっくりコトコト信頼関係をつくること。遠回りかもですが、それが一番の目的の場所に連れてってくれる道だと信じています。

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