逃亡

3時間ほど経っただろうか。
目を覚ますと時刻は22時頃になっていた。
病院に着いてからすでに8時間が経過していた。

今日帰れるだろうと思っていた私は看護師に尋ねる。
👩いつ検便できるの？
🏥ドクターが来てからよ。
👩‍🦰あとさ、私って今日帰れるよね？もう元気だよ。
🏥いや、朝まで帰れないわ。

えええええええ

何より心配なのは携帯の充電がほとんどなかったこと。
こんなに時間がかかるとは思っておらず、お泊り入院セットみたいなものは何も持ってきていない。
緊急時に、誰とも連絡が取れなくなることを恐れた。

👩‍🦰携帯の充電がないから、充電器を取りに家に帰ってもいい？
🏥だめ
👩‍🦰じゃあ、貸してくれるの？
🏥うーん、ないわね
👩‍🦰ここから5分くらいのところが家だから、取ったらすぐ戻ってくるよ。
🏥だめ。
👩‍🦰なんで？

このやりとりを何度か繰り返して、決意する。

トイレに行くふりをして、充電器を取りに行こうと…！！！

疑われるとまずいので、トイレ行く雰囲気で、トイレの方面に歩き、緊急病棟から一番遠い出口から病院を抜け出す。

そして、病院のゲートを通過しようとしたその時、私を見つけたおじさんが、ガーナ特有の「スーッッ」で看護師に私のことをバラす。

3人の看護師が走って追いかけてきた。
なんか面白かった。

私の元に来た看護師に
「戻らないとぶつよ！！！！！」
と言われる。
私は元気を取り戻していたので、
「でも、携帯の充電が切れて、私が緊急事態になったらあなた誰に連絡するの？私の家族やドクターの電話番号も知らないでしょ！」と反論する。

🏥勝手に帰りたきゃ帰ればいいじゃない！逮捕するわよ！
👩‍🦰なんで私の要望を聞いてくれないの？私が日本人だから？
🏥私だってトーゴ人よ！もうあなたが何言ってるか分からない！
👩‍🦰じゃあもう家に帰る！こんな看護師がいるところやだ！この点滴の針抜いて！
🏥それはできない！そのまま帰りなさい！
と、大喧嘩する。

最終的に近くにいたおじさんが
「俺が充電器を貸してやるから落ち着け。」と。
周りのガーナ人も苦笑い。🥹

大人しく充電器を借りる。
というか、もう充電器に差すところから全部おじさんがやってくれた。本当にありがとうございます。

その後、ドクターが来たが、検便のことは何も言われなかった。

逃亡が効いたのか、看護師から支払いをし、薬を受け取って、帰るように言われる。
支払いの時、心配だから。と1人の看護師がついてきてくれた。

👩‍🦰私ってさ、検便できるのかな？ドクターに、赤痢かもしれないから、検便してって言われたんだけど。てか、それをずっと待ってたんだけど。
🏥あなた検便したいの？それなら、別の病院に行きなさい。
👩‍🦰え、ここじゃできないの？
🏥ここではできないわ…

ええええええええ
なんでもっと早く教えてくれなかったの。

まぁ、元気になったし、もういいや…
と思いながら、家に着いたのは23時を回っていた。