非認知能力について#1

『非認知能力』小塩真司

まだ、芸術の本が読み終わっていませんが、気持ちがホットなうちに一旦こちらの本について書いておこうと思います。

この本での非認知能力の解釈は、『The ARTS and the CREATION of MIND』とはまた少し違います。
一つの言葉が持つ意味が解釈や人によって異なるのは、面白くもあり、難しいところでもあります。
自分も言葉にこだわる人間でありたいなと思います。

本著の中では、非認知能力とは、Non-cognitive abilityとして、「〜ではない」という否定表現を用いて対象を指し示しています。

非認知能力=知能指数や学業成績、偏差値などのように点数や数値で測れる認知能力とは異なる心理的特性

つまり、学校などで行われるテストで測定されるものではないが、思考や感情、行動について個人個人が持つパターンのようなものを指していると考えます。

そして、本著では、非認知能力とは、具体的には何か、その測定方法や測定結果、教育への可能性など、曖昧なものが心理研究で明らかになったデータを基に、とても明確に示されている。
けれど、具体的に教育現場然り、自分の今いる場所でどんなふうにすればその能力が伸びるかって言うところまでは詳しくは書いてないので、それはまた別の本を読みつつ、自分で考えていかなければと思います。

本著では、14の非認知能力について解説してあります。
面白い〜と個人的に思ったことを書きます。

1、誠実性=課題にしっかり取り組む力
誠実性って、状況に合わせて、自分の衝動や欲求をコントロールして、代わりに別の行動を開始し、計画性を持って実行する傾向なんだけれど、いっつも課題も仕事もギリギリでやってた(“る“ですね)自分にとってはものすごく刺さりました。
そしてこれって、確かに社会で生きていくために大事な能力ですよね。
そして、誠実性の高さは、40%が遺伝、60%が環境なので、ぎりぎりなの自分のせいやんってなりました。
でもまた面白いのが、誠実性は、子供より伸び率がないものの、緩やかに生涯にわたって発達し続けれるパーソナリティー特性なので、大人でも信長の期待が持てるとのこと。

ガーナの人にも誠実性が足りない気がしますが、自分も一緒なので、誠実性を伸ばすための方法を自分が身を以て実行していけたら、今の活動にも活かせるかもと思いました。
そして、大人も変えられるよ!という研究をしたのが、Roverts , Luoetal(2017)『社会ゲノム特性モデル』に書いてあるらしい…大人たちの意識を変えるヒントが書いてあるかもしれないので、もうちょっと読むスピードを上げて、現地の先生方にワークショップを行う前、4月くらいまでに読みたいです。

話は変わり、誠実性を伸ばすための研究として、
Self Emotional Learning(社会性と情動の学習)と言うのが行われています。
これらによって獲得される能力としては、
1、Self-awareness 自己認識(自分はどんな人間か、何が好きなのか)
2、Self-management 自己管理(感情コントロールや計画性)
3、Social awareness 社会認識(他の人の気持ちになって考える)
4、Relationship skill 対人スキル(健全な関係性の維持、同調圧力に屈しない)
5、Responsible decision making 責任ある意思決定(自分で意思決定を行ったり、そのプロセスやスキルを学校や地域社会に貢献すること)

これらが介入効果をもたらす要因として、
①プログラムが順序立っている
②活動的である
③上記5つのコンピテンスのうち焦点化した内容を一つ以上含む
④焦点化したコンピテンスが参加者と実施者の双方に示されている
とありました。

これらを見てですね、
自分が授業をやるときに意識したいな〜と思いました。
自己認識を高めるとしたら、自分の似顔絵を書いて、周りに自分の好きな色で、好きなものを描く、

自己管理を高めたいなら、材料の準備や展示の仕方まで、子供に考えさせる、

社会認識だったら、恐竜さんの入れるお家を作ろうとか?

対人スキルだったらグループワーク入れたらいいかなとか、、、

責任ある意思決定だったら社会とつながりを持たせる課題、ゴミ問題や水問題へのポスター作りができるかなと思いました。

そして、介入効果をもたらす要因、現場レベルで考えると
①授業の流れを書く
②活動をさせる
③目標を明確に
④めあてを最初に抑える

といった感じで授業していくのが大事かなと。

う〜ん。そしてやっぱりこれって、図工だと他の教科よりも取り組みやすそう。
図工、面白いです。

2、グリッド=困難な目標への情熱と粘り強さ
3、自己制御、自己コントロール=目標の達成に向けて自分を律する力

ガーナの子たちは、自己制御を強いられている場合が多いなと感じます。
課題を解かせ結果を返すときに、「成果を左右するのは努力」だと伝えたり、生徒が今学んでいる内容が将来とつながっていると教えることもこれらの能力の伸長につながるようです。
普段の声掛けにもう少し意識をし、授業の中でも、自分なりの目標を設定させ、達成度の評価を行わせる、達成した際には周りからのプラスの評価を得るなどできたらいいなと思います。

4、好奇心=新たな知識や経験を探求する原動力
これ面白いのがですね、好奇心の源泉は、2種類とされています。
①拡散的好奇心
刺激が弱い、新奇性が低い環境に置かれることで生じる不快感や退屈を解消させようとして生じる好奇心
クラスでちょっとやんちゃな子たちの行動ですね。
②特殊的好奇心
刺激が強い、複雑性が強い刺激に触れた場面によって生じる不快感や嫌悪感を解消させようと生じる好奇心
肌の色が違う私を見て、「ヤブ!!!」と興味津々で話しかけてくる行動でしょうか。

これを読んでいて、日本の子たちって、インターネット、ゲーム等々で刺激をすでにたくさん受けていて、もう拡散的好奇心しかないのではと思いました。
それと比べると、ガーナの子たちのキラキラした意欲やパワーは、まだ知らないものに溢れているから、起こるものなのかもしれませんね。

英会話の先生に
「お金持ち子供と貧しい子供どちらが幸せだと思いますか?」と聞いたことがありました。
先生は、「貧しい子供の方が幸せだと思う。だって、小さいことでも喜べるから。お金持ちの子供は、目を引くものじゃないと喜ばないだろう。」と、答えていました。

とても興味深いです。

5、批判的思考=情報を適切に読み解き、活用する能力
著者は、批判的思考とは
「規準に基づく、客観的で偏りのない思考で、決して人の揚げ足を取るものではない。批判的思考による批判の対象は人ではなく、物事である。」と、最初に断言しています。
批判的な人ほど、私は温かい言葉を使う人だと思います。

話が少しそれました。
人は、どうしても偏った見方をしてしまいます。
例えば、確証バイアスというのがあって、人は自分の考えや態度と一致した情報ばかり探そうとし、自分の考えに不一致した情報は見ない傾向があるそうです。
しかし、このようなことをしていると、話を正確に理解したり、評価したりすることが困難になります。

批判的思考はトレーニングで伸ばすことができます。
自分の苦手とする分野だと感じるので、自分のためにも学びたいと思います。

疲れたので、今日はここまで。

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