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僕たちは生き急ぎすぎていたのかもしれない

ヨーロッパもようやく春めいてきて、街中にも緑が多くなり、太陽は朝5時半頃に昇り、20時頃に沈むようになってきた。


もっと西側に行くと、丸1時間ほど、日の出と日の入りは遅くなるんだろう。


例年、サマータイムになると、僕はいそいそとどこかに行く準備を始めて、毎月2回、1回は国内、もう1回は国外に、リフレッシュも兼ねて小旅行に行くことにしている。


2019年は、3月にスイスのバーゼル、4月にスロベニア、スイスのチューリヒ、ベラルーシ、5月にフランスのボルドーを訪れていたようだ。


1回の旅行がだいたい、2泊3日~3泊4日なので、ひと月のうち1週間から10日は、どこかに出かけていることになっていた。今思えば、よくこんなにも行っていたものだ、とも思う。



今年も、通常であれば4月になる頃から、今年のオンシーズンはどこに行こうか、ということを考える時期である。ドイツのシュツットガルトや、フランクフルトからライン川沿い、あるいは、まだ行ったことのない国であるスペインやポルトガル。ハンガリーの国内でも、行っていない場所がいくつもあるので、そこも行きたい。


が、今多くの街・国が軒並みロックダウンしていて、とてもじゃないがどこかに行ける状態ではない。というか、行けるとしても、各国の政策の関係で、当分戻ってくることができない(笑)


普通であれば、こういう状態になれば、どこにも行けないことでストレスが溜まって、悪循環が始まってしまうんじゃないかと思う。



が、少なくとも今の自分は、そうではないようだ。


ハンガリーでも外出制限が出て、もう1ヶ月ほど(?)になるけれど、実は僕の生活は、普段と大して変わらない。もともと、家にいながら仕事をするか本を読むか、そうじゃなければどこか遠くに行って気分転換をするか、くらいのローテーションで生きていたので、今はこれらの中から「どこかに行く」というチョイスを抜いただけの状態だ。


今まではよくやっていた外食ができなくなったので、フードデリバリーを頼むようになりはしたけれど、いちいち部屋から出なくてもいいし、むしろ快適ですらある。街中にも人は減っているし、いつも混み合っていた道路も渋滞知らずで、クラクションで煽るドライバーもほぼ絶滅危惧種になってしまった。

スーパーに行っても人がそこまで多くはないので、窮屈な感じはせず、むしろ自分にとっては有難い。


家にいながら、基本的には仕事をして、週末はYouTubeを見るか本を読むか。去年の年末にリリースされた、昔ハマっていたゲームも結構やっているので、部屋の中にいても全然苦にならない。

部屋から出る時間は、1日で90分もないと思うが、朝30分の散歩に加えて、買い物で歩き、仕事が終わるとたまに、近くの公園まで行って気分転換をする。


寝る前には、15年以上続けているストレッチを軽くやっていて、特に体にガタが来ていることもない。



いわば、心身共にダメージが少ない状態で今という時間を過ごせているわけだけれど、こういう環境にいると、「ああ、今までの自分は生き急いでいたな」と、ふと神妙に思うことがある。


ヨーロッパで暮らすようになって、この夏でほぼ4年。日本と欧州を行き来しているので、実際にこちらにいる期間は丸3年ほどだと思うけれど、この間に、訪れてみたいだいたいの国には行くことができた。かつてお世話になった人にも会いに行くことが何度もあった。


ただ、先にも書いたように、そういう風に生きるのは、結構バタバタしなければいけない。仕事をして旅に出て、ということをしていたら、1ヶ月の間で心身が休まるときなんて、ほとんどなかったように思う。


別に、生き急ぐこと自体が悪いわけではないし、自分の場合、このペースが「マイペース」なので、これ以上テンポを遅くすると逆にリズムが乱れてしまうのも事実だけれど、今、世界の大部分で時間の流れがゆっくりとなっている中にいると、これまでの自分はやや、急ぎ気味だったのかな、とも実際には思う。


今、ややスローペースの人生を歩むようになっているけれども、これはこれでなかなか贅沢なものだ。家の中にいながら、様々なエンタメや勉強コンテンツにアクセスできるようになって、本を読んで動画を見ているだけで濃い時間が過ぎていく。


またいずれ、外に出て飛び回る時期が嫌でもやってくるだろうから、今はしっかり充電をする時間に毎日を充てたい。

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