1 幸福と真の豊かさを実感できる県への愛着醸成について R5.2月定例会一般質問
自由民主党の矢吹栄修です。
改選期の一般質問となりました。今回は11人もの議員が勇退されるという歴史的な改選となる見込みです。お世話になった先輩諸兄に心からの感謝と敬意を表します。ことに同期当選の島津議員が勇退されることは正直残念であり、小松議員とのトムとジェリーのようなケンカが見られなくなることに一抹の寂しさを感じます。
県議会から羽ばたかれる先輩諸兄に、高杉晋作の言葉を贈りたいと存じます。
「翼あらば 千里の外も飛めぐり よろづの国を 見んとぞおもふ」
地元にしっかりと足をつけつつ、日本全国、よろづの国を飛び回って知見を広め、県政発展に寄与されてきた先輩諸兄には、どうか今後ともその経験で我々をご指導下さい。
幕末とは違い、今は翼あるように世界を巡ることができ、ネットによって世界の情報が瞬時に得られるようになりました。そんな時代に生きる県議会議員として、残る我々後進も日本全国、あるいは世界という視点から山形を見て、先進事例について行かなければなりません。
今日は、日本全国の中の山形、世界の潮流の中の山形という広い視野から、山形県の赴く先を議論したく存じます。
1 幸福と真の豊かさを実感できる県への愛着醸成について
日本総研の2022年度都道府県幸福度ランキングで山形県は総合7位につけました。大変喜ばしいことであり、この件については12月議会でもいくつか質問がありました。しかし、その議論の中でもあったように、山形県民の主観的な幸福度のランキングは低い傾向にあります。ネット上にも、「山形県民だが幸福だと感じない」というような書き込みをいくつか見ました。ですが、客観的な指標から割り出した日本総研のランキングでは高順位にあるわけですから、なにも素直に喜べばいいと思いますし、誇りに思ってもらいたいという知事の言葉には全く同感です。
ただ、日本総研の指標については、よくわからない部分も多いのは確かです。国政選挙への投票率の高さが幸福度に繋がるのか、事業所新設率の低さはむしろ老舗が多いことの裏返しだから幸福度とは関係ないのでは、など、いろんな疑問も感じます。だからといって山形県7位が信じられないと言っているのではなく、幸福を感じる部分は人それぞれだ、ということです。子育て世代は子育て支援の手厚さに幸福を感じるでしょうし、高齢になれば高齢者福祉の充実を望むでしょう。客観的に幸福度を測ることは非常に困難なのです。そもそも行政が人の幸福感という領域まで踏み込めるのか、というところまで行ってしまいます。
だとしても、「主観的な幸福度が低いのは県民性だ」といってあきらめるのもまた違うでしょう。県民が幸福であり、この地に住みたいと思ってくれなければ、人口減少に歯止めはかけられません。県としては県民の幸福実感度が高くないという民間の調査結果を踏まえ、今年度幸福実感度に関する県政アンケートを実施し、調査研究を進めていくという答弁があったかと思いますが、そうした調査に基づいて今後の政策を考えていくことは正しい方向性だと思います。
しかし私としては、分析だけに留まらず、ぜひ積極的に山形県民の主観的な幸福度、地域愛着度を向上させる施策をとってもらいたいのです。
例えば、埼玉県北本市は、東海大学の河井孝仁(たかよし)教授の提唱する「mGAP」修正地域参画総量指標という指標を取り入れています。これは、地域住民と地域外住民にアンケートを採り、定住人口と「地域推奨量、地域参加量、地域感謝量」を、さらに地域外のターゲット人口と地域推奨量を、それぞれ掛け合わせる数式に当てはめ、まちへの愛着を数字的に測定するものです。これは、単なる主観的な幸福度調査よりも、地域を人に勧めたい気持ちや地域を良くしたいという気持ちが数値化され、市外からの評価も盛り込まれるために、踏み込んだ地域愛着指標と言えます。北本市ではただ数字的にこれを把握するだけではなく、これをシティプロモーションに活かしています。まちづくりに参加するプレイヤーと協働したり、まちの良さをアピールする冊子を作ったりすることによって、着実にmGAPの数字を上昇させているのです。mGAPという数字を調査した後、その結果をもとに地域住民の地域愛着度を向上させる政策を展開し、その上で、再びmGAPによって地域住民の感情の変化を数字的に把握できている、ということです。
私は以前にも山形の「真の豊かさ」を県民に周知していくべきと主張してきました。所得は低いかもしれないが住宅などの出費が低ければ実質的な所得は高い、とか、通勤時間が短い分だけ余暇が多い、とか、居住空間における一人当たりのスペースが広い、などといった、単に自然が豊かだとか食べ物が美味しい、といったものだけではなく、都会より有利な部分を数字的に示すことで、山形県の優位性を県民自身に実感してもらうべきだと主張してきたわけです。北本市の事例はまさにそうしたことを行政が積極的に仕掛け、しかもそれによって変化した地域住民の意識を数字的に把握しているのです。
ぜひ県としては、どこかの会社が調査した幸福度に右往左往せず、県民の意識を変化させる地に足のついたシティプロモーションを行ってもらいたいのですが、幸福と真の豊かさを実感できる県への愛着醸成について、どう進められるか、知事に伺います。
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