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ダメ男こぼれ ♯9 ~VHSエンコードのはなし~

前回の続きではないけど、ちょっと映像に詳しい方なら「フルハイビジョンの解像度は1920x1080」くらいはご承知でしょう。

4Kの解像度が3840×2160、DVDの解像度は720x480、というのも「何を当たり前のことを」と思われるかもしれない。
ではVHSは?となるとちょっと難しい。いや、データは公表されているし、知識として理解している方もそれなりにおられるであろうが、それを解像度という尺度に当てはめるのが難しいのです。

VHSの水平解像度は220~240本程度だと言われています。で、VHSがサポートする画角は4:3なのだから、ざっくり320x240くらいじゃないの?というとそう単純じゃない。
もうこの辺のことはマジで面倒くさい話で、解像度と水平解像度は違うし、インターレースとかプログレッシブとか、あと当時のブラウン管テレビ特有の不可視領域とか、いろいろありすぎて本当にややこしいのです。

それでも、アナログテレビ時代にビデオ撮影された番組をスカパーとかで再放送する時は「VGA(640x480)相当でキャプチャしたものをハイビジョンにアップコンバートしたもの」と思われるので、もし「VHSビデオテープからパソコンにキャプチャする」となったら、ま、VGAでやれば十分、ということになる。はずです。

ところがこれまたコトはそう簡単じゃない。
アタシは手持ちのVHSテープが山ほどあり、一時期それを必死こいてキャプチャしてたのですが、VGA解像度でキャプチャすると元の映像よりもあきらかに画質が<アマく>なるのです。
まず考えたのがキャプチャ機器の性能です。そして次がビットレートの問題。ま、ここまで読んでくださってる方ならだいたいお判りだと思うのでビットレートの説明は省略します。

いろいろ実験した結果、少なくとも「QVGA(1280x720)の解像度で、無圧縮でキャプチャしたら、ほぼ元ソースと同じ画質になる」のがわかった。
最初に無圧縮で取り込んでやれば、あとはエンコード設定をちゃんとやってやれば、MP4にしようがほぼほぼ元ソースに近い映像になるってのもわかったんです。

となるとキーは解像度です。つまり、VGA解像度でキャプチャしてはVHSのポテンシャルを引き出せなかったということになる。
これがよほど元ソースの状態が良い場合は別でしょうが(スカパーで再放送されている昔の番組はおそらくベータカムのマスターテープからキャプチャリングしていると思われる)、民生用のVHSテープを元ソースにしなければならない場合は、とりあえずQVGA以上でやるのが一番安全です。ましてやキャプチャし終わり次第、そのテープを廃棄しようなどと目論んでいる場合はなおさらです。

これは映像だけに限らず写真でも同じです。
アタシはこれまで1000冊以上の書籍を、いわゆる<自炊>をしたけど、アナログの解像度って得体の知れないものがある。単純にアナログ=デジタル換算でいえば解像度は、とか到底言えないんじゃないかと。
キャプチャリングにしろ<自炊>にしろ、アナログのものをデジタルに取り込む場合は、もう、可能な限り高画質でやった方がいい。元の解像度がいくらとか関係ない。アタシもうっかりVHSのキャプチャをQVGAでやっちゃったけど、将来的なことを考えるならせめてフルハイビジョンでやるべきだったと後悔しています。

だからこれだけは言える。
別に高価なキャプチャ機器を買う必要はないよ。ノイズが出まくるみたいな低品質のヤツではない「ちゃんとしたもの」であれば十分です。
しかしその代わり、キャプチャ設定には気を配る。これはちょっとやりすぎだな、と思うくらいでちょうどいい。

ってこれ、本当は「SPレコードのCD化」みたいな話とも関係があるんだけど、それはまた今度。