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ロシア副首相が 択捉島に

7月12日の報道によると、ロシアのトルトネフ副首相が12日、北方領土の択捉えとろふ島を訪問したという。移動手段はおそらくチャーター機だろうと、flightradar24 で飛行航跡を追ってみました。


▲ ファルコン900EX(RA-09003)がサハリンへ(flightradar24 を編集・加筆)

まず、7月8日にウラジオストクに飛来したのが、機番 RA-09003 のファルコン900EX。これは Gazpromavia(ガスプロムアビア)のVIP用チャーター機です。ガスプロムはロシアの巨大企業で「天然ガスの生産・供給において世界最大の企業」(ウィキペディア)なのだそうです。その子会社で航空輸送を担うのが「ガスプロムアビア」というわけ。

ガスプロムアビアのファルコン900EXはロシア政府関係者の移動にも使われているようで、2021年7月に ロシアのミシュスチン首相が択捉えとろふ島を訪れた際にも利用されました。

ウラジオストク到着から3日後の7月11日、同じ機体RA-09003でユジノサハリンスクへと飛行し、午後1時半ごろ(現地時刻)着陸しました。

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択捉えとろふ島への訪問は翌12日とのこと。その日はチャーター機ファルコン900に動きがありません。国後くなしり択捉えとろふに定期便を飛ばしているオーロラ航空を利用したようです。


▲ ユジノサハリンスク~択捉島間のフライト(7月12日)

12日に択捉えとろふ島を発着した便を flightradar24 から拾ってみました。機材はすべてターボプロップ双発機の DHC-8-400 です。

国後くなしり島に向かった4645便(RA-67260)が島の上空でホールドした後、択捉えとろふ島にダイバートして13時34分ごろ(現地時刻)着陸しました。国後くなしりが悪天候だったのでしょう。

その後、ユジノサハリンスクから4往復とプラス1便が択捉えとろふ島とを結んでいました。副首相らが搭乗した往路の便は特定できませんが、復路はおそらく9216便(RA-67252)だったのだろうと思います。

その根拠は、

▲ 択捉島→ユジノサハリンスク(flightradar24 を編集・加筆)

9216便がユジノサハリンスクに到着したのが23時55分(現地時刻)であり、その直後にチャーター機ファルコン900がユジノサハリンスクを離陸したからです。


▲ ユジノサハリンスクから離陸(flightradar24 を編集・加筆)

ファルコン900が出発したのは、9216便の到着から13分後、24時08分(現地時刻)でした。その目的地はペルミ(PERM)です。


▲ ユジノサハリンスクからの帰路(flightradar24 を編集・加筆)

広大なロシア領の上空を7時間ほど飛行した後、チャーター機ファルコン900はペルミに着陸しました。30分少々のステイ後にペルミから離陸し、その後 1200kmほど西のモスクワ近郊に到着したようです。

flightradar24 に表示される多数の航空機を見ると、ウクライナとロシア南西部、それにベラルーシ、モルドバ、黒海北部のあたりが、ぽっかり穴が空いたようです。民間機が飛行できるはずのない戦地の状況を、なんとか打開しなければ…。


▲ 副首相らの極東ツアー

ロシアの「首相」って、国家元首の「大統領」と比べればその権限は限定的らしいけど、副首相ならさらに…なのかな?

2024年5月14日に発足したプーチン政権の新内閣の一覧を見ると、留任したミシュスチン首相の下に、10名の副首相が記載されています(JETROビジネス短信)。その8番目に、「副首相 兼 極東連邦管区大統領全権代表」として「ユーリー・トルトネフ」の名がありました。この肩書から想像すると、北方領土に関しても「大統領全権代表」ってことなのでしょうか? なんか偉そう…。今回の択捉島訪問には、同じく新内閣の一員である「極東・北方発展相」の「アレクセイ・チェクンコフ」氏も同行したということです。


※ すべて、やぶ悟空による推測です。誰がどの便に搭乗していたかを示すような裏付けは持っていません。

※ 冒頭の写真(やぶ悟空撮影)は、記事の内容と無関係です。

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