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行けない所
きしきしと音が鳴る場所だったのは覚えてる。それと上履きのことをズッパと言ってたことも。初めての彼女ができたのもその場所だった。僕の初めてがたくさん詰まった場所だったし、僕の初めてをたくさん置いてきた場所だ。
「それでは皆さん各自自己紹介をしましょう。」
先生が言った。
ここで自分という存在を皆にアピールする。放課後の下校では皆が僕の自己紹介の話をする。
「あの子なんだっけ、面白い自己紹介してた子!」
「面白かったよね!私友達になりたいもん!」
と、こんな感じになるといいなとおもった。
結果は全敗。
僕が高校生の時に流行っていた芸人の一発芸を織り交ぜて自己紹介をしたのだがこれが全くウケず座った途端顔を机で隠したのを覚えてる。やはり、中学の友達が全くと言っていいほどいない教室の中で一人だけゲラゲラ笑っていたら変人だと思われてしまうと思ったのだろう。そうやって自分を慰めて最後まで突き通した。だが結果は全敗。
「終わった。出だし最悪だ。」
そんな高校生活最初の自己紹介の時に時間を巻き戻して行ってみたい。
今ならあの時よりも面白いことが言えると思う。
みんなびっくりしただろうな。面白くもなんともないことを大きな声で自信気に話してる僕を見て。(笑)
行きたい。ちょっぴり苦い思い出の詰まったあの自己紹介が行われた高校の教室に。