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PPP的関心【行政によるワークスペース提供。国立市の実証実験】

新型ウィルスにまつわる社会的な行動制限や考え方の変化の一つ、場所に縛られない働き方も定着した感がある昨今ですが、行政の「社会実験」として市民へのワークスペースの提供事業についての「社会実験」のニュースを目にしました。これについて思ったことを少しだけ書いてみました。

■市役所のホームページ↓

■新・公民連携最前線 PPPまちづくり 記事↓

社会実験とは

社会実験の意味を調べると、「新たな制度や技術などの施策を導入する際、場所と期間を限定して試行することで、有効性を検証したり問題を把握し、時にはその施策の本格導入を見送るかを判断する材料とするもの。地域住民との意見交換ならびに周知と合意形成も兼ねている。(ウィキペディア)」とあります。つまり「まずはやってみる」「やってみた上で必要性の確認、より効果的なやり方の工夫を重ねてみよう」ということだと思います。
事業計画を何度も何度も机上で重ねすぎて目的を見失いような仕事の進め方や最悪の場合は何度も検討した挙句にやらない、というような取り組みよりはよほど良いことだと思います。これからの行政サービスは目的と達成基準を明確にして「小さく」社会実験的な取り組みから始めた上で結果の検証をして、良いものを広げてゆく方が良いと思います。

コロナ前後でクローズアップされたワークスペースの確保

冒頭の記事にある社会実験は、オフィスでもない自宅でもない第三のワークスペースの確保を行政が支援するにはどのようにしたら良いか?ということを検証するものだと思います。

さまざまな団体が行なっているコロナ前後の生活変化に関わる生活者調査のトピックとしてもテレワークスペースの確保の可能性はよく出てくる問題だと思います。例えば東京都の「テレワーク導入実態調査」の調査トピック

の中でも、「サテライトオフィスなど「自宅以外の場所でテレワークができる環境」の回答が上位を占めている。」といったコメントも見られます。
東京都内の自治体である国立市による今回の施策もこのような背景を受けた取り組みなのではないかと想像できます。

第3のワークスペース確保は行政サービスの範疇か?という(あえての)疑問

事業者提案事業(詳細はページ下部のリンク先参照)として民間事業者の協力のもと、テレワークのほか、学習を始めとした個人の作業にも利用できる個人向けワークプレイス「くにたちラウンジ」を設置し、実証実験を行います。この実証実験により、市民の多様な働き方の促進、自己啓発活動等に与える影響等を検証するとともに、市民ニーズを把握することで、今後の市のさまざまな事業展開の発展につなげていきます。

国立市ホームページより

この市役所からの発信に対して「あえて」の疑問を投げかけてみます。
第三のワークスペースの必要性についての疑問はないです。個人的な体験を含めてもそのようなワークプレイスの存在はとてもありがたいものです。
ただ「この施策は行政サービスの範疇か?」という点については疑問が先行しました。
そもそも機能面で言えば第三のワークスペース(レンタルスペース)の提供は「民間ビジネス」として既に提供され始めており、その認知や利用も進んでいると思います。つまり「市場で供給可能なサービス」ということです。市場が成立するサービスに対して行政が重ねてそれを供給する理由はあまり見つけられないのではないか?というのが、疑問が先行する理由です。

また「市民の多様な働き方の促進、自己啓発活動等に与える影響等を検証するとともに、市民ニーズを把握する」という目的については、市民ニーズの把握は既に民間ビジネスが行なっていることもあり目的としてはふさわしい感じません。さらに言えば自己啓発に影響を与えるか?などの検証点はそもそもの「スペースニーズ」の背景に自己啓発のためのスペースニーズは現状の理解からは飛躍している気がします。(=こじつけ?)

目的的な施策決定に期待

社会実験として新たな取り組みを始めるという「方法論」については異論のないところですが、ワークスペース問題は住宅問題や働き方の選択肢の問題などいろいろな要素を含む事柄だと考えると今回の取り組みの「政策目的」や「政策課題の選択・優先順位付」において疑問が残る情報でした。



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