PPP的関心【これから取り組むPPP。"官の決定権問題"の自覚と"why"意識】
先日、行政へのアドバイザーとしてご活躍されている方と話をしていた際に話題に上がった「官の決定権問題」が今回の主題です。
ただ「問題」といっても、関わる方の能力が不足しているといった問題ではなく、ざっくりいうと「ことに臨む姿勢」の話です。
以前も「イコールパートナー」「契約当事者間の対等な関係」について記事にしたことがありますが、改めてそのようなテーマについて書いてみたいと思います。
官の決定権問題とは
東洋大学 PPP 研究センター紀要(2012)に収められた特別論文『PPP 研究の枠組みについての考察 (2) (根本祐二 - 東洋大学 PPP 研究センター紀要, 2012 )』で使われている表現です。
少しばかり引用が長くなりましたが、過去のこうした指摘に対して民間提案制度やサウンディング型市場調査の活用など手法としてプロセスに民間視点や民間側の自由度を高める取り組みも進んでいることも事実です。
一方で、不透明と指摘を受けるような選定が起こったり、不調に終わる公募が起こったりという現実もまだまだ見聞きすることもあります。
せっかく官民連携によって地域社会の課題を解決するための活動を起こすのであれば、不調につながるような困難な条件設定や不十分なインセンティブとならないようにお互いの力がより引き出される、かつ透明性の高い過程があることが大事だと思います。
ただし私の個人的な理解としては、そのような問題は当事者、関与者の能力的な問題でなく、姿勢の問題、習慣の問題だと思っています。
PPPにおける官の決定権問題の抑止につながる「役割」の転換
公的サービス(公共サービス)の提供にあたって提供対象や水準、役割分担など仕様を決め、実際に自らの手でサービスの決定と実施を担うのが従来の自治体職員の「役割」でした。つまりサービスプロバイダーです。
ところが、そもそも費用の制約やマンパワーの制約など環境も変わってきたなかで、より高品質なサービスを合理的な費用で実現することができる民間のサービスプロバイダーが登場、あるいはそうしたプレイヤーの登場が期待できる状況に際して、そういったプロをマネジメントすることに「役割」を変えるという発想が求められていると考えます。サービスプロバイダー時代のマインドセットを転換するということです。
まずは当事者双方で「プロフェッショナル」を認め、尊敬をする
例えば、民間提案は官の決定権問題を抑止するための一つの方法論だと言えます。では、こうした制度が「効果的に」使われるためには官民の当事者、特に官側はどのような姿勢や取り組みをすれば良いのか。
一つは「餅は餅屋」として相手のプロフェッショナルを認め、尊敬することから始めることだと思います。次にサービスプロバイダー時代からのマインドセットの「具体的な」転換として「(自ら)やらないことはサボタージュではない」と考えること、むしろ、自分がプロのように振る舞い前にプロが持っている技量を最大限発揮する環境を提供することが「仕事」だと考えることだと思います。
(相手のプロフェッショナルに比べ)技量が劣る人が手を動かし時間を使い「私がやりました」と振る舞うことの方が(地域社会の課題解決という目的に対する)サボタージュだと考えるべきだと思います。
PPP的取り組みで公的サービス提供をする際にはWhyを意識すること
(地域社会の課題解決という目的に対する)サボタージュだと考えるべきだと書きましたが、言い換えれば公的サービスを提供する際、特に官民が連携してサービス提供をしてゆく上では「目的的」であることが優先されるべきだということです。
誰がやるか(やったか)・何をやるか(やったか)・どれだけやるか(やったか)といったインプット観点や、何が生じたか・何を生じさせたかなどのアウトプット観点に偏った関心を持って、たくさん動いたから「やった」、たくさん時間を使ったから「やった」、相応に予算を投じたから「やった」ではなく、取組結果から生じた変化を生かして「どんな状態を作りたかったか(目的)」「目指した状態は実現しているのか」に関心を持つことが大事だと思います。
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