勉強家の死 追悼・桂枝雀1999.04.21矢部明洋
落語家は60歳を超えてから、どう枯れてゆくかが勝負だと思っている。枝雀こそ、これからの枯れっぷり次第で志ん生、文楽、円生、米朝と続く戦後の大名人の系譜に連なり得る人だった。59歳での自殺は残念極まりない。
横山ノックが議員バッジをつけてからというもの関西の高座で「タコ」といえば枝雀だった。人気が頂点にさしかかった頃の独演会での客の受けぶりは凄まじいものがあった。ツルツルのタコ入道頭で舞台にいるだけで客は笑ってしまうのである。枝雀が「いるはにほへと」と意味のない発声をするだ