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おばあちゃんから料理を習う①

 先日、古本を間借りで販売させてもらっているお店に立ち寄った際、そこで知り合った方と世間話をした時のこと。

おばちゃん「出身は?」
私「長崎です」
おばちゃん「正月は帰ると?」
私「いや〜、仕事なので帰らないですね。ただ1月のどこかで帰るかもしれません」
おばちゃん「おばあちゃんはいる?」
私「そうですね、畑とかやってて、元気ですよ」
おばちゃん「そしたらね、料理習っといた方がいいよ」


 大きな雷が落ちた。
 帰ったら絶対におばあちゃんから料理を習う。心に決めた。

 うちのおばあちゃんはパワフルだ。幼少期から現在に至るまで、あまり衰えを感じさせない妙なパワーがある。
 畑には季節の野菜を植え、同時に花も育てる。漬物をつける古屋があるかと思えば、その脇には椎茸を育てる原木が置いてある。崖に登って草むしりもするし(崖から落ちて入院することもしばしば。あと熱中症もよくかかる)、知り合いのところでみかんちぎりの仕事をする。人前では飼っている猫を適当にあしらうが、内心溺愛している。お出かけするときはハットをかぶって出ていくオシャレさん。
とにかくよく動く。そしてよく寝ている。

 そんな彼女だが、悲しいかな会ったとて交わす言葉があまりない。
お互いに”元気にしてる?”とか”最近は何してるの?”といったありふれた会話しかできないし、祖母孝行がこれまでにできた自信もない。
 社会人になってからというもの、会う機会が激減し、一年に一回会えたらいい方となってしまった。間借りしているお店で話をしていた時にもふと、「会えるのは、もう数えられるほどではないか…?」と急な寂しさと焦りに駆られた。

 何かをプレゼントするとか、お手伝いをするとか、もちろんそれはそれで喜ばれることだとは思う。世間一般ではそうだし、私もそれが一番ではないかと最近まで思っていた。しかし、おばあちゃんとなると話は変わってくる。

 私自身が「おばあちゃんから料理習うって、めちゃ面白そうやん!」と感じているということは、同時に彼女も「孫に料理教えるってめちゃ面白そうやん!」と感じてくれるに違いない。

なぜか、確信できる。


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