サウナで笑っちゃうな

おとといの夜だ。相変わらず布団も敷かずに転がって眠りに落ちて3時すぎに気がつく。またか。とほほ。歯を磨きしばし携帯を眺める空が白み始めるのもだんだん遅くなってきたみたいだ。だいたい3時間経ってまた起きる。睡眠時間は多かったけどほとんどが床だったのでもちろん身体が痛い。自転車で、階段で、ひと息のタイミングで隙あらば肩首をぐるりとまわす。眠気に似た怠さが抜ける14時すぎに、固まった身体もほぐれてくる。気がする。その前のだいぶ早い時点で、やはりいつものようにその日の過ごし方を考えてみると一択しかない。今日こそは、サウナだ、アクアだ。アクア東中野の方角へ自然と身体が向きつつも、仕事をやりこなす。そもそもやっぱりこの身体のバキバキをいい加減どうにかしなきゃな。

18時の知らせが鳴り外へ出る。解き放たれる瞬間だ。今日の暮れ具合はどうだろうと、まるで今日の占いを見るかのように空をたしかめる。まあどんな空だからってなにが変わるわけではないのだが。煙草を1本嗜んで、いつもとは真逆方向の東中野へ自転車を漕ぐ。積乱雲の発生の仕方と流れ方で夕焼けは気まぐれの画家みたいに空をつくる。この日は、この夏いちばんだった。おばけのような川のような雲と側にちょうど半分の月。東中野方面へゆく線路沿いはけっこう空が開けていて、止まって何度も写真を撮った。ひと駅反対へ行くだけで景色はまったく違うからもうすでにいい気分になりつつある。空は暗くなってきてまだ綺麗だけどこれ以上はよくならない、といういつも通りの目利きをしたところで、目的地のアクア東中野へと入る。だって半分の月が川の真ん中にいたとき、色もなにもかも完璧だったから。

年齢と同じ数字の靴入れの鍵を渡すと、はじめてですか?と受付で尋ねられる。番台というよりは受付というような雰囲気。はじめての場合はサウナの扉の開け方などの説明があるためだ。二回目ですと、つい応えてしまう。はじめてかどうかだけを確認する業務的質問だ。何回目とかはどうでもいいのだ。まあそのくらい心躍っているんだよおれは。と心の中で呟きながらロッカーに100円硬貨をいれて服をつっこむ。さあ。

だいたいだけど、40度、44度、100度、18度、25度へと、心のまま?身体のままに選んで入ってゆく。いち往復目でもう露天プールからの景色が万華鏡のようになる。頬はゆるみ目尻はさがり、こんな仏のような表情ができる幸せに満たされてゆく。脳みその中をまわるあれこれの事柄がめぐる。なんとなく全ていいほうへと整ってゆく。

まさに身も心も軽くなり、帰り道の自転車でけっきょく汗をかき。また無限の選択肢がある中でいつもの第三ビールを買って家に帰った。そしてまたふたつめの途中で床と一体化。気がつくとまた3時。あれ、これっていつの話なんだ?

同じようないちにちだったとしても、少なくとも夕暮れの模様だけはちがうんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?