Forever Goldを聞くと「その日々が何より幸せだった」と思う
「みなさんはこの曲にどんな思い出がありますか?」。そんな文章と一緒にSexy Zoneの公式TikTokに上げられて動画が「Forever Gold」のライブ映像だった。
「Forever Gold」の思い出を話すと長くなる。
2022年7月2日の新潟昼公演。自分にとってはこれがザ・アリーナツアーの初日だった。何もかもが初見で興奮する中、Forever Goldの前に流れたケンティー監修の映像では「アイドルが消えた世界」が描かれていた。
その映像を見たとき、自分は別界隈の推し(フィロソフィーのダンスの十束おとはさん)の卒業のことを思って号泣した。
2022年11月に卒業が決まっていたおとはすは、卒業後就職する予定だと話していた。アイドルをやめて会社員をしているSexy Zoneに未来の彼女を重ね、「元気にしてるかな?」と話す映像中のオタクに自分の未来を重ねた。
アイドルが消えた世界に現れた伝説のアイドル。そんな煽りで映像が終わり、号泣する私の目の前に現れたのが菊池風磨さんだった。
ああ、アイドル・十束おとはが消えた私の世界に現れるのはアイドル・菊池風磨なんだな。そう思った。風磨くんがあの位置から出てきたのはただの偶然だ。もしかしたら他のメンバーだったかもしれない。それでも勝手に運命だと思った。
スポットライトを浴びて、足元の水がキラキラと光る。そんな中で「Forever Gold」を歌い踊る風磨くんの背中を見ながら、フィロソフィーのダンスにいるおとはすを追いかけた日々が蘇った。
最後のアルバムは「遺作」だと話していたおとはすのこと。そして「僕にとってSexy Zoneは"今"」「"この先""この続き"を見たくなる」とananで話していた風磨くんのこと。それぞれを思い出して勝手に脳内で対比し、喜怒哀楽のどれにも分類できない感情で泣いた。
永遠に続くものなんてないのに。MGのインタビューで風磨くん自身もアルバム曲「Dream」に関連してそう話していたのに。それでも目の前で歌い踊る姿から溢れ出る輝きを見て、風磨くんの未来を見つめる姿を信じたいと思った。刹那の儚さを語りながら、刹那を重ねた先にある未来の話もしてくれる菊池風磨という人、そしてSexy Zoneというグループに夢を見てしまったのだと思う。
おとはすの卒業をもってステージの上の魔法に夢見る日々は一度終わった。今もフィロソフィーのダンスは好きだしあの現場にしかない熱量があるのだけど、「永遠に変わることなく歌って踊る」はないことをもう知っている。Sexy Zoneに関しても同年12月にマリちゃんの卒業があり、同じようなことを思った。
でも何事も儚いもんだね……で終わるものではないことも分かった。たとえいつか形を変える日が来るとしても、ステージを仰ぎ見て感じたキラキラはずっと胸の中にある。追いかけた日々に抱いたときめきはきっと永遠に変わらない。
そして2グループの大きな変化とその後を見て、好きな人たちの選択ならきっとこれからも応援できるんだろうなとも思った。というか「応援できるようになるまで自分の中で消化する努力をする」ということが自分にとっては「信頼」であり、「好き」なのだと気付いた。Sexy Zoneに関しては事務所関連で正直今まさに消化に苦しんでいることもあるけれど、悩んででも追いかけたいと思えるほど好きにさせてくれたのは他でもない彼ら自身だ。追いかける日々が幸せだったからこそ、今もこうして好きだと思っていられる。
2022年ドーム公演の挨拶で、風磨くんはこう話していた。
「その日々が何より幸せだった」。今現在も続いている好きな人たちとの日々を過去形で振り返るのは少し違うかもしれないが、きっとどの地点で振り返っても私のオタクとしての日々はこの言葉に尽きるだろう。そのことを「Forever Gold」は何度でも思い出させてくれる。