Sexy Zone『ザ・ハイライト』は本当に「令和レトロ」だった
音楽の難しいことは分からんがこのアルバムが好きだということは分かる。
ひたすらに音楽とメンバーのボーカリストとしての幅を楽しめるアルバムでした。
80年代をイメージしたアルバムだと随所で聞いていたので「その懐かしさにあまり共感できなくてついていけない」という可能性も考えていました。が、いざ聞いてみると想像していたよりもバラエティに富んでいる印象。2022年に20代を生きる自分にも不思議と馴染みました。50代の親には「懐かしい」で刺さっていたのでその辺りのバランスが絶妙なのでしょう。
アルバムの広告に並んでいたフレーズ「この時代を照らせ」を思い出しても、あくまで照らしているのは「あの時代」ではなく「この時代」。
あの時代を経たこの時代を、過去もひっくるめて照らしているんだなと思いました。
だからレトロではなく令和レトロなんですね。ケンティーが「Forever Gold」について「令和レトロ」と発言したときはやや首をひねりつつ聞いていましたが、今なら真にそう思えます。
「令和なの? レトロなの?」という話ではなく、過去を大事にしつつ令和の時代を生きて音楽をやっている。そういうスタンスだからこそどの時代に思い入れが深い人でも面白く聞けるんだと思いました。このアルバム全体として令和レトロなんだなあ。
ボーカルの話をすると、安定した歌唱でありつつ時々飛び道具になる中島健人、全体的に今回の曲と相性がいい菊池風磨、全体に溶けることもアクセントになることもできる佐藤勝利、変幻自在の松島聡……って感じです。
一番びっくりしたのは聡ちゃんです。松島聡さんの歌声、変幻自在すぎません? 「あなたは素晴らしい声よ!」と横断幕を掲げたいです。
音楽の話をすると、どこか切なげな曲が多いです。夏のアルバムだからかなあ。Galileo Galileiの『See More Glass』も切なさのあるアルバムだし夏のアルバムってそういうものなのかもしれない。少ないn数で話してしまってすみません。
夏・どこか儚くて切ない・クールでかっこいい。この要素が揃うと風磨くんのソロコンを思い出しちゃいます。そりゃ好きなアルバムですわ。
以下、各曲の感想です。聴き込んだら感想が変わりそうですが、現時点での気持ちを。
6/5追記:感想がどんどん更新されそうなのでツイートは別でまとめることにしました。
https://togetter.com/li/1896667
Forever Gold
まさかこの曲で泣くとは思わなんだ。歌詞を見ながら聞くとSexy Zoneのこれまでに思いを馳せてしまい、そして2番でほろっと……。
「守るものはできたかい?」は今の風磨くんが過去の自分に言っているように聞こえるし「照れ臭さも君のため ダサいなりに本気だった」で過去の諸々が蘇るし、そりゃほろっときてしまいます。自分自身にまだ「色褪せない日々」といえるものがなくてもこうやって楽しめる1曲なんだなと思いました。
Desideria
とかく聞き分けが難しい。でももう聞き分けとかいいの。曲がいいから。インストも聞きたくなる曲でした。
Sexy Zoneのボーカルが変わってもガチャガチャしないところが活きているなあと思いました。ガチャガチャするのが楽しい曲もあるけれど、まとまりを重視することもできるのが好きです。
THE FINEST
もうイントロでニヤニヤしてしまう。フィロソフィーのダンスのオタク、好きでしょこれ……。
MV公開時は解釈の翼を広げてしまいましたが、MVがないとふっつーにラブソングに聞こえますね。逆に言うとMVの力ってすごい。でもフルMVまだ見てないです、すみません。フラゲ日はほぼ定時に上がったのにCDを聞いていたら1日が終わってしまったんです。そのくらい曲だけでも好きなアルバム。
音楽の詳しいことはさっぱり分からんのですが、勝手にツアーのセトリを組むならこの流れで「桃色の絶対領域」を入れます。
夏のハイドレンジア
浮かないの!
シングルなのにアルバムから浮かないの!!
たしかに「THE FINEST」から雰囲気は変わりますが、たとえるなら夜が明けて朝が来たような自然な移り変わり。そのあとの「Iris」への流れも踏まえると素晴らしい位置にいると思います。
Iris
試聴と全然印象が違います。これがあるから試聴で立ち止まれない。
聡ちゃんがすごく絶妙なバランスを取っています。聡ちゃんの柔らかで丁寧な歌声がなければもっと湘南のオラオラな感じになっていたかもしれません。や、Sexy Zoneが湘南の海に行ってもオラオラというよりはギャルか。
最後のケンティー、役者でしたねえ……。プロポーズのワンシーンを見ているような気持ちになりました。このアルバムのSexy Zoneはほんとにいい役者です。提供された曲を演じる役者。
SUMMER FEVER
軽くてお洒落でどこか幻想的な音がSexy Zoneには合いますね。夏の夜にライブハウスで聴きたい曲だなと思いつつ、もっと涼しげな印象もあり……この涼しさがSexy Zoneだなと。
歌詞だと「邪魔しないで 僕らの楽園を」が大好きです。こういう映像のイメージが浮かぶんですが、掛け持ちオタクにしか通じない表現になってしまった……。リアルと空想の絶妙なバランスの話をしたいのですが表現が難しいですね。
Story
「SUMMER FEVER」からするっと「Story」の世界に移りました。移り変わりに違和感はないのにすっと曲ごとの世界に連れて行ってくれるので、やっぱりSexy Zoneは役者力が高い。
「Twilight Sunset」や「イノセントデイズ」のような、不確定な未来を前にした若者たちを描いた歌だと思いました。そういう歌には明るい未来があってほしいです。でも2番のサビで歌詞の時かけみが深まって切なさの化身・菊池風磨の概念が強くなったので、この恋は儚く消えてしまうかもしれません。つらい。夏も恋も持っていってくれ。
ラブソングとしての話をして書き綴りましたが、ライブの最後に歌われたら「ラブソングだと思って聞いていたけど"君=ファン"ってこと……!?」ってなるタイプの曲だなとも思いました。SZ10THの夏ハイで見た!(進研ゼミ)
「もしまだ知らない君がいたとしても 好きという気持ち 変わらないよ」は「どんな君だってそれでいいよ」に通じる思想で好きです。そういう歌を歌ってくれてありがとう。
Eliminator
「Are you ready?」って全然readyできてないよ。まだ「Story」の世界に……と思ったらもう持っていかれちゃう。どれも曲が強いです。
しょりそうの密やかなAメロといい、風磨くんのラップといい、中島さん大活躍のサビといい、メンバーの個性を活かした曲で好きです。後ろのサイレンの音も好き。ライブだとガンガンにレーザーを使った演出になるのかしら。楽しみ♪
Freak your body
KAT-TUNのアルバムを買って「これはリビングで聞いちゃダメだ!」と思った幼き日を思い出しました。年上二人のセクシーは浴び慣れていますが年下組にやられるとあたふたしちゃう。
こういう重くてセクシーな曲を歌ってもどこか女性的な色気を感じるのは歌声ゆえなんでしょうか。「もっと欲しい?」の中島さんの歌い方などにもそういう印象を抱きます。
休みの日くらい休ませて
この流れでくるのはたしかに「高級ホテルのレストランにサンダルとスウェットで行っちゃったヤツ」で笑いました。でもこれ以上かっこいい曲が続いたら逆に飽きたかもしれないので絶妙な位置ですね。時々スナック菓子を食べたくなるのと同じ。スコーンスコーン。
Dメロで「風磨くんってこういう声出せるんだ」と思ったら続く中島さんで「こういう声出せるんだwwww」ってなりました。なんだこのシンメ。どこまでも行きますね。そうだね、上司がみんな子犬だと可愛いね。
そして「ちゃっちゃっちゃーん どん」で終わる。終わり方までコミカル。何から何までありがとうございます。好きなところを書き連ねたらこれだけで1本書けそうなのでまたの機会に。
LET'S MUSIC
この流れでレツミュが来たらもう仕事しません。明日のこと忘れちゃいます。金曜日の夜みたいな無敵感がある。
レツミュ自体の話は何度もしているので割愛し、レツミュ大好き文を貼っておきます。
Summer Ride
君と僕はどういう関係なんだろう、と想像が膨らみます。僕が君のことを好きなのは分かるけれどそれ以外が靄の向こうにある感じ。
これは少々無理矢理ですが「僕=アイドル/君=ファン」で読むとそわっとします。「君は誰が好きだい?」「誰かに聞いた僕の噂は僕の口から伝わって欲しかったよ」。まあ飛躍した解釈ですけれど。
Dream
「夢みたいに綺麗に消えて Ok?」か~、いやいやOkじゃないよってことになるのかな~などと悠長に思っていたら、中島Dメロからの菊池落ちサビでぐしゃぐしゃに泣きました。消えないでくれよ。何度離れ離れになっても慣れない世界で君を見つけてくれよ。なんか諦めようとしてる菊池風磨(※風磨くんではない)を繋ぎ止めてくれよ。
綺麗に消えてしまった過去を重ねて今があるのだからそれでいいんだ。過去も今もそうやって愛するんだ……とでも言われると納得しそうになりますが、それでも1000年先から守りに来てくれる中島健人氏のセクシーハピネスパワーで二人をハッピーエンドに持っていってほしいものです。
なんかふまパラを思い出しちゃった……はあ。
Ringa Ringa Ring
「もしかしたら言えるかも もしもしからの続きを」。なんて可愛い歌詞なんだ。
勝利くんの声は可愛いというよりもかっこいいだと思っていましたが、この曲の勝利くんはしっかり可愛い。勝手にツアーのセトリを組むならこの流れで「Prism」を入れます。
「Story」で終わるライブを想像していましたが、この曲で終わるのもありですね。夏の昼下がりに電話する二人のこれからを想像する。そんな未来ある終わり方になるんじゃないでしょうか!
CDを楽しみすぎてまだ特典映像やMVにたどり着けていませんが、週末にはそちらも楽しみたいと思います。