見出し画像

今さら聞けない円高円安

4月29日 一時1ドル=160円に達したそうで、日銀の介入により150円台前半まで鎮静化を果たしております。
現在どんどん円安が進み、少し前まで1ドル=140円ぐらいだったし、昨年の今頃は130円、平成は100円のあたりをウロウロしていたのに、ここに来て急に円安が進んだ状況です。

え?待って、1ドル=100円より1ドル150円の方が『円安』なの?なんか変じゃない?
数字が大きくなってるのに安いの?
解りにくいってば。

ですよねー。
この場合の円安は、『円の価値が低くなった』という意味なのですが、日常の中でドルは使わないし、数字が大きくなるのに安くなるとはこれいかに?

アメリカ人から見た円


アメリカ人になってみれば、円安の意味が簡単に解ります。
ここではあなたはボブというアメリカ人になってもらいます。
ボブが嫌だったらマイケルでもオリバーでもアルフレッド・F・ジョーンズでも好きに名乗って頂いて大丈夫です。

ボブは大好きなうまい棒を買いにわざわざ日本に来ます。
ここでは仮にうまい棒が1本10円とします。

2022年にうまい棒は1本12円に値上げされたし、消費税もあるのですが、安売り店で1本10円とし、消費税は考慮外とします。

ボブ(米国)のうまい棒ショッピング


1ドル=120円の場合
 ボブ「1ドルで12本のうまい棒を買えますネー」

1ドル=150円の場合
 ボブ「Oh!ヤッター! 1ドルで15本のうまい棒を買えますネー!うまい棒安くなりましたネー!」

1ドル=100円の場合
 ボブ「No~! 1ドルで10本しかうまい棒を買えません!うまい棒高くなりました!」

こうしてボブの立場になってみると、円高円安の意味が簡単に理解出来ると思います。

日本人から見た円高円安


日本人の太郎は、常連のボブがいつもうまい棒を買いに来てくれてとても嬉しいのですが、為替レートが変わるとどうなりますでしょうか。

ボブはいつも1ドルを差し出しますが、その時のレートで渡せる本数が異なります。

円安で1ドル=150円の時は、うまい棒を15本渡せてボブの喜ぶ顔を見る事が出来るし、何より日本人である太郎にとっては「150円の売り上げが出来た」わけです。

逆に円高で1ドル=100円の時は、ボブに10本しか渡せずボブが悲しそうだし、太郎にとっても「100円しか売り上げが無かった」事になるわけです。

それだけならまだしも、日本の近くにある某国ではうまい棒をパクった商品を作っており、味は落ちるのですが価格が安く1ドルで15本の菓子を渡す事が出来ます。

ボブ「Oh,太郎 すまない、味は落ちるけど15本買える某国で買うよ」
ライバルに顧客を奪われてしまうわけですから太郎は涙で枕を濡らします。

これが1ドル=150円だった場合
ボブ「同じ15本だったなら、美味しい(品質の良い)太郎の(日本の)うまい棒を買うよ!」
太郎は大喜びです。
もちろんボブも美味しいうまい棒を(美味くない某国のと)同じ本数買えるわけなので大喜びです。

簡単に書くとこういう事です。

これはインバウンドにも大きな影響があり、よく聞くのは「欧米人が日本旅行で飲み食い買い物が安い」と財布のひもが緩む事です。
日本人にとっては、以前と変わらない価格(むしろ値上げ傾向)なのに、欧米人は嬉々としてお金を落としていくわけです。

以前の記事にも書きましたが、太平洋戦争敗戦後に何故か1ドル=360円の固定相場制を強いられたのですが、これに当てはめたら平成時代の3倍の収益があるわけで、そりゃ3倍のスピードで復興もしますわ。
そう考えると、円安になればなるほど当時の高度成長期に近づくと言えなくもないかもしれません。

良い事ばかりではありません


当り前ですが、円安が良い事ばかりではありません。
本質としては「円の価値が下がった」わけで、例えばその分海外へ支払う分は多くなります。

海外から輸入している小麦等の穀物や、海外に作ってもらっていたOEM商品の価格も、円安になればその分多くの日本円を払わなければなりません。
また、海外旅行をする時も相対的に割高となってしまいます。

もっとも、為替問題よりも欧米諸国のインフレ率の方が圧倒的に高く、庶民が海外旅行するにはちょっと勇気が要るかもしれません。
(日本人は30年間デフレで価格が上がるという経験に乏しいのです)

海外との物価の比較で最近よく聞くのが「ビッグマック指数」というものです。
マクドナルドは全世界に展開していますので、その国のビッグマックの価格が比較的公平に比べられる基準になるのではないかという、まぁ庶民感覚の基準です。

2024年5月現在で、日本のビッグマックは480円です。
(とりあえず消費税は無視します。アメリカにも州により異なるが売上税があります)
アメリカのビッグマックは6ドル前後だそうで(州や店により価格が異なるそうです)150円のレートだと日本円で900円です。

デフレ漬けだったサラリーマンの感覚だと、ビッグマックが480円吉野家の並盛牛丼が426円で同じぐらいというのも、白米大好き男子だと牛丼に軍配が上がりそうですが、そのビッグマックが米国では倍近い900円とかどうやって昼飯を食えばいいのやらとなりそうです。

ちなみにニューヨークでは吉野家の並盛牛丼が9.88ドルですから、150円レートで1,482円です。ブルジョア階級の昼食です。絶望します。


とりとめもない記事でしたが、日本が失われた30年を取り戻し、世界に追いつくには円安もやむなしと個人的には思っています。

じゃないと、いつまで経っても給料が上がらないでしょ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?