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コント「マイケル」が大好きだという話
ニューヨーク単独「虫の息」の中で、私が1番好きなネタ「マイケル」
観る人によっては、不思議なコントだったり、馬鹿馬鹿しく笑えるものだったり、いろんな受け取り方が出来るコントだろうなと思いました。
この記事ではコント「マイケル」の感想を書いていきたいと思います。
ネタバレを含みますので、お気をつけください。
少し古いアメリカの青春映画を彷彿とさせる「マイケル」
ストーリー、音楽の入り方、動き。全てが映画のような雰囲気で洋画が好きな自分にとって、とても楽しく面白いコントでした。
そして、何より励まされました。
何故、励まされたか。
それは自分自身が高校生の時に挫折し、部活を辞めているからです。
コントは、屋敷さん演じる高校2年生のダイキが部室の片付けをするところから始まります。
所属するダンス部の部員が自分1人になり、廃部になるため、ぽつぽつと心情を呟きながら掃除をしています。
ダイキはどうやらダンスがあまり上手くないようで、部室に落ちていたマイケルジャクソンのDVDを見て呟きます。
「僕がマイケルぐらいダンスが上手かったらな」
そこに突如、現れるマイケルジャクソンの魂(嶋佐さん)。
浮かない顔をしているダイキのために不思議なイリュージョンとともに登場。
このコントはイリュージョニストのHARAさんの指導が入っているため、さまざまなイリュージョンが観ることが出来ます。
ニューヨークさんの単独ライブ「虫の息」にてイリュージョン指導を担当致しました。 ちょっとウルッとくるコントになっています。配信でも観れるので是非 ✨ https://online- https://t.co/YANmqsjcpW #虫の息 #ニューヨーク単独 #木高の先輩 @NYyashiki @Shimasahead pic.twitter.com/VgBRkukldC
— HARA / イリュージョニスト (@HARAmagic123) August 22, 2023
そして、ここからダイキとマイケルジャクソンの不思議な日々が始まります。
配信では権利の関係で似たような曲が流れていますが、それ以外の公演ではマイケルジャクソンの「Black Or White」が流れ、彼らの日々が音楽と動きのみで描かれます。
とにかく嶋佐さんのマイケルの動きがコミカル。ダイキの日常にマイケルが自然と溶け込んでいきます。
ここ、すごく映画的な演出だなぁと思いました。台詞はないけれど、2人で過ごした楽しい日々を描くにはもってこいの演出です。
そしてマイケルとの日常生活の中で元気になっていくダイキ。とても大切にしていたダンスのことを「もういいや」とぞんざいに扱う発言をします。
それに対しマイケルは激怒します。怒り方までエンターテイメントな動きで。
ダイキにダンスを大事にしてほしかったんですね。
マイケルは、ダイキにもう一度ダンスを踊ってみて、と背中を押します。
私はこのシーンが特に大好きで、大阪公演ではグッと心を掴まれ、配信では何度も観ました。
何かをやる上で『上手くなくても好きなら続けていい』と、肯定してくれているように思えました。そしてここで登場するのが、へこんだ空き缶が元に戻るイリュージョン。
ニューヨーク、こんなコントもやるのかと驚きつつ、思わず泣きそうに。
大好きだったダンスを廃部のせいで、自分が下手なせいで、手放さなければならなかった。
もっと自分が上手ければ。そういう不甲斐なさや、諦めは心に傷を作ります。
でもその傷にマイケルは楽しい日々を一緒に過ごしてくれることで、寄り添ってくれます。
きっと放っておいても、日にち薬で少しずつ治っていくけれど、ダンスに向き合って辞められていないため、完治はしないでしょう。
だけどマイケルはそこに向き合うよう、最後にそっと背中を押してくれます。
一度諦めたことに挑戦するのって、すごく怖いんですよね。
自分に実力がないことを受け入れるのも勇気が必要ですし、それに向けてもう一度努力をすることがいかに大変か。それでもダイキは、マイケルの言葉を受けて再挑戦することを決めます。
ここの音楽の入り方もとても映画的。勇気づけるような音楽と台詞がぴったりです。
文化祭でひとりでダンスを披露したダイキ。楽しんで踊ったことでいろんな人に褒められ、とても喜びます。
ダンスは決して上手ではないのですが、そこを笑いどころにしておらず、すぐ次のシーンにいきます。ここも好きなポイントで、下手でも楽しんでダンスを踊ることを茶化してないんですよね。
そこで突如訪れるマイケルとの別れ。
ここでのダイキの台詞にリアルが詰まっています。
「僕、またひとりぼっちになっちゃうじゃないか」
「また」という表現。ダイキはまるでマイケルと出会う前から、ひとりぼっちであるような発言をします。
友達の有無は描かれていませんが、ダイキは高校2年生。この時期に部活を辞めると、友達がいても部活動真っ只中でなかなか遊べないんですよね。放課後も特にやることがなく、ひとりで家に帰って、ひとりで時間を潰すだけ。
周りのみんなが頑張っているなかで、じんわりとした孤独感があったのを自分の経験から思い出しました。
だけどこの孤独をマイケルは友達の役割をして、埋めてくれていたんですよね。
絶対に有り得ないけれど、フィクションのあったかもしれない未来のように思えて、救われました。
あの時のわだかまりが緩やかに解けていくような感覚。だから私はこのコントが強く印象に残ったのだなと気づきました。
オチが馬鹿馬鹿しいのもすごく良い。
「なんだこれ!」と笑いながら観終われます。
このコント、ちゃんとボケも面白いし、イリュージョンは素晴らしいし、励まされる部分もある。大好きなネタでした。
(ボケは脳内に直接語りかけるところがめちゃくちゃ好き)
権利関係で配信ではマイケルジャクソンの曲が使えないので、特に生で観れてよかったコントです。「Black Or White」とマイケルとの日々の描かれ方が本当にいいんですよ……。
マイケル、本当に素晴らしいコントでした。
何度も観たいので、単独のデータ販売もお待ちしております。
2024年6月28日 追記
YouTubeに公式動画があがりましたので、一時非公開にしていたこの記事を再度公開しました。
やっぱりこのコント好きです。