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熊野古道伊勢路を歩く。(1日目)

さあ、熊野古道伊勢路踏破の旅が始まった。
最寄り駅から電車に乗り、伊勢神宮内宮へ向かった。今日はいっぱい歩くのだから、最初は贅沢に近鉄特急でと思ったが、早朝すぎてまだ特急は動いていおらず、急行に揺られながら伊勢に向かった。そういえば、コロナ禍以降、電車に乗る事すら久しぶりだった。
伊勢湾から昇る朝日を久しぶりに見た。キラキラと輝く太陽。
私は朝日を見るたびに、どうして人は毎日訪れるこの美しいひと時を見ないのだろうと思う。朝日を浴びて黄昏れる。これって涙が出ちゃうくらい豊かな事なのに。話はそれるが、ベトナムのダナンという海辺の街を訪れたことがある。朝や夕方ビーチに行くと沢山の地元の人が泳いだり、歩いたりしていた。ひと海してから、1日が始まるっていいよね。

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話は戻って、電車とバスを乗り継いで伊勢神宮内宮に到着。道中の無事と、最近調子が悪い友人の回復を祈って、参拝。そして猫しかいないおはらい街を歩き、外宮へと向かった。車だとあっという間なのに、巡礼ルートを辿ると思いのほか時間がかかったし、2月の風は冷たく不安が過る。今日は全行程で28キロもあるのだよ。。

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ようやく外宮に到着。こちらでも参拝をして旅のお守りを買って、おにぎりを食べて次の目的地、田丸を目指す。
市内の商店街ルートが始まる。あまり通ったことがない道で結構楽しくなってきた。のぞいてみたいお店もいくつかあったが、何せ朝が早いので殆ど開いていなかったが、かろうじてオープンしていたパン屋さんでサンドイッチなどを買う。鞄がずしり重くなる。お昼は別に持ってきているのに、ついつい。テンションをあげるためにも寄り道は大切だ。とわいえ、寄り道ばかりでは前に進まないまで、「寄り道券」1日2回までというルールを作った。

宮川大橋を渡る。堤防沿いに、宿り木を見つけた。昔、お付き合いしていた人はクリスマスには宿り木の下でキスをすると幸せになれると言っていた。あの人元気に生きてるかな。

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そんなノスタルジックは一瞬で、伊勢平野の風に立ち向かいながら何もない道をひたすら歩く。次にテンションがあがったのはコンビニにたどり着けた時だ。お菓子とカップラーメンを買ってトイレを借りる。パンの気分から寒さのせいでカップラーメンの気分になっていた。田丸に到着したが、城址を見て回る余裕はなく道の片隅でカップラーメンとパンを食べて先を急いだ。

まだまだ、何もない道は続く。何度も車では通った道だ。何もない、でも平野の大きな空の美しさが染みる。車だと見落としてしまうありふれた空を歩く旅では感じられるのか。何もない道が何もないわけではないのだ。

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ようやく、熊野古道の10ある峠の最初の峠「女鬼峠」にさしかかる。案外すっと終わる。そうか、峠=頂上ではないのだ。わざわざ頂上までいく必要はなかったのだ。昔の旅人だって出来るだけ早く向かいたいし、楽して次行きたかったのだろう。

峠を越えると街の雰囲気が一変し、山里の景色がになっていた。
伊勢で渡った宮川にもう一度再会する。川の水の色もエメラルドグリーンな感じで嬉しくなる。

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さあ、あと一息、栃原駅まで。それが結構長い。今まで歩いた距離を思えば大した距離ではないが、疲労がプラスされるとなかなか到着しないし、急に足の裏が痛くなる。テンションをあげてくれるものはもはやない。地図にコンビニと書いてあった場所はコインランドリーになっていた。足を引き綴りながら、ようやく駅に到着。足が痛くて様式トイレに座るのだって手すりなしじゃすわれない。手すりさん、あなたがいてよかった。

ギリギリ電車に間に合ったまではよかったが、足が痛すぎて、足つり時に飲む漢方を投入してみた。しかし、しばらくして電車の中で急に気分が悪くなり、血の気を引かせながらようやく最寄り駅にもどってきた。

こんなふうに旅は始まったのだ。

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