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2024/4/14📚太宰治『人間失格』感想

⚠️ネタバレ注意

普段、私は小説をほとんど読みません。気になる本があれば購入するものの、結局後回しになって読まなかったりします。そんな私でも、太宰治の人間失格が名作だということは知っていて、いつか読みたいなあと思っていました。最近、オーディオブックアプリの「ヒマラヤ」をダウンロードしたのをきっかけに、人間失格を聞いてみました。ぼーっとしていると展開が変わていたり、自分の知らない語彙が出てきたりして、理解するのが難しいところもあったので、視聴後には中田敦彦のYouTubeチャンネルも見ました。今回は、初めての『人間失格』の感想を書こうと思います。名著なので読んだことがある人の方が多いかもしれませんが、⚠ネタバレ注意⚠です。

また、これまで「である調」で文章を書いてきましたが、皆さん「ですます調」ですし、なんだかこわい雰囲気があるような感じもするので、郷に入れば郷に従え、で、ですます調で書いていくことにしました。

全体的な印象

 文章は、主人公である大庭葉蔵(ようぞう)目線で書かれていきます。まず、第一印象は「欝々としているなぁ」と感じました。冒頭いきなり、子どもの顔の悪口から始まります。写真を見ても目をつむった途端に忘れてしまうような特徴のない顔、みたいな。一体誰の話をしているのだろうと思ったら、葉蔵自身のことを、自虐的に言っているのでした。この話は第一の手記、第二の手記、第三の手記という大きく分けると3つの頃から成りますが、はじめに、それぞれの頃の自分自身の顔について、最初に触れていたということみたいです。
 主人公の葉蔵の性格を一言でいうと、ひねくれています。「こう振舞えば周りが喜ぶからそうしてあげるけど、本当の自分は違うんだぜ」終始、こんな感じです。周りに自分の本音を見せず、仮面をかぶった自分に騙されている周囲のことを嘲り、どこか見下しています。最初は尖った芸人を見ているときのような気持ちで、面白い角度で進むなぁと思っていたのですが、あまりにもこの感じが続くので、イライラした気持ちまで生まれてきました。しかし、第一の手記が進んでいくと、葉蔵の人格がなぜそのように形成されたのか、という謎が少しずつ解けてきます。器用で勉強の才能があるために、大人から見て可愛い子供になれなかったこと、父親が厳しく、本音を言いづらかったこと、家で雇っている女中から性的虐待を受けたこと、などから、捻くれたような人格になったと考えられます。

印象に残った場面

 私が特に印象に残ったのは、竹一に本性がばれた場面です。たしか小学校か中学校の頃の体育の場面で、葉蔵がみんなの笑いを取る(ポンコツで可愛い自分を演じる)ためにわざと大げさに転んだところ、おとなしそうな同級生の竹一に「わざ、わざ(わざとでしょ)」と言われ、葉蔵が大冷や汗をかくという話です。実は私も、小学校の頃友達と仲良くなるために、当時流行りだったヘキサゴンのおバカタレントの真似をして、おバカキャラをやっていた時期があり、それがある友達にばれた時の恥ずかしさと重なり、このシーンにはかなり共感してしまいました。自分のキャラが見破られることへの恥ずかしさったら、、。意外に、共感する人も多いのではないでしょうか。アニメでも、あざとさで男を落とそうとしている女の子がいて、でも主人公の男の子には何にも響かなくて、、みたいなシーン、ありますよね。

こんな人におすすめ

 なんだか鬱々としていますが、葉蔵の世の中の見方の切れ味がなかなか鋭く、爽快感もある気がします。何か世の中に対してむしゃくしゃした気持ちがある人、現実からあえて距離を置きたい人、などにおすすめです。

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