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24/4/9 📚『トヨタの会議は30分』要旨


1. 本書の概要

山本大平『トヨタの会議は30分』
(2021年、すばる舎)

 日本経済が低迷する中でも、トヨタ自動車は世界の時価総額ランキングの上位に残り続けている。このような好業績の大きな要因として、ジャスト・イン・タイムや自働化といった「トヨタ生産方式(TPS)」の存在が論じられてきた。本書では、実際に長らくトヨタで働き、役員表彰を受けた経験もある山本大平氏(以下、著者)が、トヨタ式の仕事の進め方について語っている。著者は、テレビ局での勤務を経て、現在戦略コンサルタント、事業プロデューサーとして働いている。
 今回は、本書で著者が伝えたいと考えられるトヨタ式の仕事の進め方の特徴について3点にまとめた。

2. 時間への意識

 変化が予測不能であるVUCAの時代には、スピーディーな仕事の仕方が重要となる。アメリカや中国の企業に勝つためには、悠長に仕事をしている暇はない。トヨタは、「とにかく無駄を嫌う」文化があり、従業員は常に効率化やスリム化について考えてきた。それが表れているのが、時間への意識の高さである。
 トヨタでは通常、会議の時間は30分で設定される。1時間、と長めに取っておくと時間の浪費につながるからである。万一延長してもいいよう、30分は間隔をあける。
 上司に提案・報告するための資料も、上司が1分で読むことのできるようにまとめる。テーマ、読み手への行動の依頼、結論、根拠(論拠)、補足を漏れのないように並べ、1分で伝わることを目指す。
 社外の人とのやりとりでは、メールではなく電話をよく使用する。メールは、やり取りの記録を残したいときにのみ使用する。

3. 深く思考し、工夫する

 トヨタでは、自分の頭で考えることが求められる。どんな事象にも、上司は「なぜ?」と、問いかけてくる。「なぜ?」は5回どころではなく、何度も繰り返す。そうして自分で答えを導き出す癖をつけている。
 「なぜ?」と考える癖がつくと、作業中問題に気が付き、その要因を特定することができるようになる。トヨタのカイゼン(現場の作業効率の向上)は、この「なぜ?」習慣に支えられている。

4. プロ意識

 トヨタには、「良い品、良い考」という標語がある。「良い品」とはお客様のニーズを満たし、期待を超える品を指し、「良い考」とは、正しい行動の基盤となる考え方を指す。お客様、世の中のことを第一に考えた仕事を目指しているのである。「オヤジ」たちは、自分の都合ではなくお客様の代弁をするために怒号を飛ばしている。著者は、これがトヨタの強みであると考えている。
 良い仕事をするためには、時に人間関係が緊張することさえ受け入れ、お互いの意見をストレートに伝えることが必要である。人間関係がこじれすぎないよう、飲み会を利用すると良い。トヨタでは、空気をあえて読まない人が多い。会社の社風によっては、空気を読まないということは難しいかもしれないが、少人数の中でも構わないので、意見を言ってみることが大切である。
 著者は、はじめから無理と言わず、まずやってみることが大切であると考える。過去に、ある部署で挑戦した結果、無理だとわかった経験がある。無理だとわかるためには、これ以上できないほど試行錯誤をする必要があるため、なるべく早く試行錯誤に取り掛かるべきである。

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