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"風間くん"という5才児の研究

テレビに鈴木福くんが出ていたので
「あ、鈴木さんだ。」
と呟いた。

隣りにいた妻から
「"福くん"でいいだろ!」
とツッコまれる。

この何気ない日常の"ボケ"と"ツッコミ"のやり取りに、何だか既視感を感じた。

あぁ。そうだ。風間くんだ。
妻のツッコミは、風間くんに似ているんだ。

風間トオル 5才。
テレビアニメ『クレヨンしんちゃん』に出てくるしんのすけの友達。
春日部防衛隊の隊員であり、自称隊長である。

クレヨンしんちゃん テレビ朝日公式HP より


しんのすけ「う~ん。でめたしでめたし//」

風間くん「それを言うならめでたしめでたしだろ!!」

しんのすけ「そうとも言う〜」

というお決まりのオチも、風間くんのツッコミが無かったらと思うとマジでゾッとする。
CMの間、我々視聴者は極上のギャグを無下にしたボケ殺しの展開に鬱念することになる。

そう。【ギャグアニメ】のクレヨンしんちゃんにおいて、風間くんは必要不可欠な存在なのである。

風間くんといえば、私立小学校のお受験を控えているエリート幼稚園児。
基本、大人や年上には敬語で話し、自分の博識ぶりや高貴な振る舞いをひけらかすこともある。

しかしこのエリート設定自体が大きな『フリ』である。
パンツをずらされたり、耳に息を吹きかけられたり、ギャガーたちの怒涛のボケを処理したり、ズボンの股間の部分だけ濡らされたりするわけである。

ノリツッコミもする


そう。風間くんは『ツッコミ』でありそのスキルはもはや芸人の域。

ツッコミ、リアクション、イジられ、キレ芸、
ノリツッコミ、例えツッコミ、解説、話の進行、そして時にはボケにも全力で徹するのだ。

『それを言うなら○○だろ!!!』
『全部お前のせいだろ!!』
『わ〜!!僕のイメージがぁ〜!!!』
『どうやったらそうなるんだよ!!!!』
『ーって、何やらせんだよ!!!』

風間くんボイスで脳内再生楽勝である。
怖いくらいに。

自分が5才児だったらどうだろうか。
友達のボケ(これに関しては作中でのしんのすけが余りにも無双しているが)に対してちゃんと落とすことができるだろうか?
大人顔負けのツッコミができるだろうか。

やはり、風間くんは5才という年にしてはツッコミとしての立ち振る舞いが完璧すぎる。

それだけではない。

劇場版の
『嵐を呼ぶ!夕日のカスカベボーイズ』
『伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』
『謎メキ!花の天カス学園』
では(なんやかんやで操られたり利用されたりして)ヒール役に徹する。
これも風間くんにしかできない。

『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』では、あの有名な幼稚園バスでの爆走シーンにおいて

マサオくんの『ぶっ飛ばすぜベイビー!!』 と
しんのすけの『バスの上から仁王立ちで2000GTに立ちション』

の間をつなぐ重要な役割もしている。

「いくら敵に追われているからって、交通法規を破るなんて事は僕には出来ないよ」と言って、法定速度を守って走行した結果、風間くんのせいで敵襲に追いつかれてしまう。

でも無免許運転してるじゃない」というネネちゃんの絶妙なツッコミにより、風間くんは「僕は犯罪者だ~」と運転席のシートを叩きながらいじけるのである。

圧巻。爽快。
この幼稚園児たちのコント、完璧すぎる。

幼稚園バスの下に隠れるシーン。
ピンチの状況下では防衛隊全員が同じ表情や
アクションをすることが多い。


ここで重要なのは、マサオくんの覚醒ドライブの直後にしんのすけの立ちションが来た場合、おそらく視聴者は"笑い"の許容量がオーバーしてしまう

途中で風間くんという「給水」を挟むことによって、より鮮明なカーチェイスシーンになっている。

序盤のシュールでシリアスなシーン、中盤のギャグシーン、そして終盤の野原一家が団結して未来の為に奮闘するシーン。
みさえやヒロシたち大人たちが操られている状況下で、風間くんは見事に状況判断とツッコミと繋ぎに徹しているのである。

そして最後にもう一つ忘れてはいけないのが、風間くん、極度のヲタクである。

もえPという女児向けアニメを溺愛する風間くん

しずかちゃんの好物が焼き芋 とか はいだしょうこおねえさんの絵がド下手 とか"ぶっ壊れたギャップ"はわかりやすくそのキャラの武器になる。
これだけ手数の多い風間くんに取って驚異的な隠し玉である。
もはやこの設定だけで戦えるまである。


クロちゃんのこと黒川って呼ぶなよ!!!

今日も僕の何気ない一言に、しっかりとツッコんでくれる妻をとてもありがたく思う。

互いの信頼関係とワードのチョイスが、しんのすけと風間くんのようにガチッとハマるのだろう。

"風間トオル"という驚異の5才児。
これから先、我々があのコミカルな園児たちの日常を覗くとき、きっと彼がそつなく仕事をこなすその姿にまた魅了されることだろう。






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