チキン

街は特別な日をリレーする
我が家は少し特別な日を経由する
チキンを食べて
おいしいねってわらう
毎年の恒例行事
欠くことなく
実家にいる人はそうする
もし
ぼくがここにいなかったら
父母はチキンをたべるだろうか
少しずつ耳が遠くなって
少しずつ我慢が効かなくなって
少しだけ忘れっぽくなって
少しだけ感情にアクセルが乗る
ふたりだけのときには
険悪にならないための薄氷があって
それがたびたび割れる音がして
慌ててふたりのあいだに割って入るけど
ぼくがここにいなかったら
どうなっているのだろう
感謝を忘れちゃダメだねと言い合っているにしては
衝突の多い
感謝と衝突は別腹だとわからされるふたりは
どうなっているのだろう
なんてことのない
かけがえのない
あるからこそある今日を終えていく
いつか
ぼくも誰かと
家族になるんだろうか
そのときは
感謝と衝突のバランスがもう少し改善できたら
子孫の甲斐があるかもしれないな
そのときも
クリスマスのチキンを家族で食べることができたらいいな

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