悔いの花
母がアザレアの花を買った
アザレアの花を袋へ入れてもらい僕が持った
いまよりまっだまだ痛いヤツだったころの告白を思い出した
「ファレノプシスの花言葉をあなたに」
調べて選んだファレノプシスの花言葉は
「あなたのことを愛しています」だった
キミからの返事は「アザレアの花言葉をあなたに」だった
調べると「愛されるよろこび」だった
叶った
嬉しかった
ガッツポーズをした
馬鹿で痛い僕は「アイシテイル」を連呼した
まだ
ちっとも
大人になんてなりきれていないのに
伝えて
注いで
与えて
溺れさせれば甘く溺れてもらえると信じ切っていたから
年末の矢の如き光のなかで不意打ちのように打ち切り宣告をされた
プラトニックで幼稚で稚拙なごっこ遊びが切断されたことは寝耳に水で
喚き散らしてキミを完全にドン引きさせてしまったし
たぶんおそらく
その人生においてなかったこととしたいなどと思うまでもなく
さらり、スラリとなかったことなっているであろうことに
一抹の寂寞さえ申し訳なさすぎて
おぼえないように努めていたことさえ忘れていた
僕は右手に持ったアザレアの花が揺れるのを見つめたまま
申し訳ない気持ちでいっぱいになっていたから
母が欲しがっている2つ目の相談なんて少しも聞けちゃいなかったが
左手で持てばいいと半ば諦めを胸に同意した
もちろんファレノプシスではない
名前はまだちゃんと見てはいないがとてもきれいな花だ
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