イタズラ猫のにゃあ

寂しがり屋のイタズラ猫はいつも身勝手
今日はさっきも叱られたのに空気読めずに大暴れ
さすがに主人も大目玉 猫は慌てて大混乱
少しの間
知らんぷり決め込む主人に大慌て
なんとかこっちを見てくれと
部屋で暴れて空回り
しょげてヘコタレ爪を出し 壁紙引っかき悪循環

翌日主人は長旅へ
猫は窓から見送るけれど声に振り向く気配なし
どうすりゃいいのと困惑するも
いつもの声がでてこない
胸の奥にあいた穴 ポッカリひとつだけじゃない

拾われ猫のイタズラ猫は
悪いユメを見るたびに　悪い未来を視るたびに
ポコポコポコポコ穴だらけ

毛が逆立つほど怖いのに主人の帰りもわからない
にゃあと鳴く
声静かに響く　弱々しい声静かに響く

眠れないのどうしたの？
優しくたずねるシャムネコは　ご主人様のお気に入り
毛並みも綺麗で頭も良くてボクとはまるで大違い

なんでもないよと声殺し
もう二度となんて言葉がよぎる
足かみ締めて震えを殺し月を目だけ追いかける

拾われるまでに見た景色
何度も何度も見てた空
そしてユメがはじまれば 毛が逆立つほどこわいユメ

寂しいけれどしっかりしなきゃ
ボクは良い子にならなくちゃ
シャムネコなんかに負けないぞ
もっと笑顔がみたいんだ
もっともっとが溢れてくるよ

穴があいてもこわくない
シャムネコなんかに負けないぞ
ボクにはボクの価値がある

自分で自分を励ませば
勇気のゲージがグングン上がる

怖い声が聞こえてもそうじゃないよと抗える
怖いユメを見た後もそうならないよと決意を決める
そうして猫は学んでく 少し強さを身につける

ご主人様はまだ来ないけど
シャムネコはどこかへ連れて行かれたけれど
寂しがり屋のイタズラ猫は
いつも怖さと対峙して いつも怖くて仕方ない

だけど それでも どうしても
嫌われたって好きだから
捨てられたって大好きだから イタズラ猫は毛繕い

ご主人様を微笑ませると胸の勇気をオンにして
イタズラ猫はにゃあと鳴く

百万遍のごめんなさいを
ひと鳴きだけに　こめるため

ご主人様の手になでられて
満たされる日　焦がれるように待ち続ける