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よこになるよいのくち

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横になる宵のくち、そこはかとなく思ったことから派生していく由無し事から生まれる自由詩だか散文だか。
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2020年3月の記事一覧

途中下車

僕の現実が世界の一端であって万事ではないことを知っているし、君の現実が世界の一端であって万事ではないことを知っている。偉い人が言う対象者は一端であって万事でないことを知っている。それでもみんなに賛同を得たと進む。僕と君が納得していないことなんて無視して速度が上がる。次の駅は近い。
#自由詩

あるじ

欲張らなかった欲望が行方をなくす
吐いたツバを飲みたいと懇願してもはぐらかされるだけ
 どうなりたい?
甘美な囁きが耳元で泡立つ
 狼は廃業してしまったので紳士然とするのみです
強がりを本物に変えながら微笑み離れる
ぼくは弱虫でいいのです
捕まえて躾ける口角の角度は心拍と連動する
#自由詩

はるのなか

静かな春の花びらの
とどまる波に足を止め
飲めぬ歌えぬそれゆえの
在るに気がつく花見時
通りを抜けてく足取りは
去年までとは違うもの
ひとり泣いた春
三人で泣いた春
祈って願って見つめた日
あの頃よりは年重ね
あの頃よりは強くなり
弱くなった部分もあるが
明日も春のなかをゆきいきる
#自由詩

リッシンベン

この熱さがリッシンベンに起因するのか
こうなってしまってはもう証明のしようがない
触れたい気持ちを偽ることはできない
自由なきみの埋め合わせの一画になるつもりはない
唯一がいいとまで欲張りはしない
かよわせられればいい
この情動が今夜のきみの唾棄すべきものでないか
答え合わせがしたい
#自由詩

アクセラレーション

開催と復活の証明を混ぜ
勝利の証明を加え
事実に手心を加える手癖の悪さが
加速する気配に警戒心が増す
観客は国内で賄えると
カメラの前で放つ発言に
亡霊の威圧を感じる
これがかつて
老人たちが言っていた狂想曲の前奏だろうか
結論のためのごまかしの末端が
火花ではなく花火なのが救いか、否か。
#自由詩

範疇

笑っていたい人もいる
悲しみたい人もいる
立ち上がる人もいる
立ち上がれない人もいる
忘れたい人もいる
忘れたくない人もいる
十人十色の
千差万別の
自由な今日を
自由なままで過ごせる世界を
我が家から始める