お米炊飯研究所#2 研ぎ方で変わるごはんの食感

https://youtube/6o5z33K92C8

[Youtube 普通と強い研ぎ方の比較実験]

お米炊飯研究所#2 研ぎ方で変わるごはんの食感(普通と強い研ぎ方の比較実験)

https://youtube/6o5z33K92C8

 第2回目のYoutube動画は、普通の研ぎ方と強く研ぐ方法を比べて食べてみる、という企画です。
今まで私たちは”お米は強く研いだらダメ!”と皆さんに伝えてきました。
しかし、ある経験をもとに考えを変えました。強くゴシゴシ研ぐのはOKと。
というのは、わたくしのある経験からです。

 家内があるとき、もったいないからこのお米食べるね、といって炊いたお米でしたが、食べてみると??ごはんが黄色みかかって、匂いも古米臭。この米どうしたの?と聞くと、昨年からある理由で確保していたお米が新米が出てきて売る機会がなくなったの食べてみた、とのこと。いわゆる不本意ながら”古米”にしてしまったお米です。
これは売り物にならないし家で買って食べよう(社長でも店から買います)ということになったのですが、どうしたら美味しく食べられるか・・・考えました。
ある論文に、お米を強く研ぐことで、お米表面の細胞壁だけが残り、米でんぷんは溶出する、と書いていたのを思い出しました。(*1)
考えてみれば、古米臭は脂質がリパーゼという酵素で分解されて、その副産物として出る匂い。精白米表面に付着する糠に含まれる脂質が酸化して米でんぷんに絡みついているので、それをこそいで取ってあげればお米は白くなるかも?と思い、多少割れるのも構わずゴシゴシ研いでみました。(*2)
あら!不思議!? 炊けたお米はイヤな匂いがしません。白くツヤツヤしているではありませんか!
ああ~なるほど!!! 昔は(といっても十数年前くらいまで)お米の保管状態が悪く、去年収穫された今年度米でも保管が悪くなると古米のようになる。家に保管されていても然り。
だから、昔からその対応した研ぎ方として、強く研ぐことを行っていたのです。

いろいろな場面で、お米は軽く研ぐ、とか、優しく研ぐ、と言われてきました(私の反省を含めて)。

しかしお米の研ぎ方はそのお米の状態に合わせて使い分けるべきなのです。
今回のYoutube動画ではそれを伝えたくて、強く研ぐ方法を行ってみました。

ちなみに、前述の論文には、普通の研ぎ方を「洗う」。何度もゴシゴシとボウルの底に米を押しつけるように研ぐ方法を「研ぐ」と言葉を使い分けています。

洗う・・・指先をボウルの底につけて円を描くように

研ぐ・・・米を手のひらでボウルの壁面に押しつけるように *1,下記写真も含む

画像1

私がお伝えした普通の研ぎ方は「洗う」という表現でもかまいません。
またこの論文には、実は「洗う」も「研ぐ」も結局は食味にさほど影響はなかった、とも伝えています。
また、しっかり研ぐことで保温時の米飯の劣化を抑制させる、ともいわれています。(*3)

いろいろな場面でもったいぶって、お米の研ぎ方は~と伝えてきましたが、1990年の論文には、「洗う」と「研ぐ」の違いは食味の官能検査で優位差は認められず、とも述べられており(*1)、結局さほど食味に影響しない、という結論です。
なので、自分の好きな研ぎ方でOK!! 
敢えて言えば、お米に合わせてお米の研ぎ方を変えましょう!
Youtube動画第1回目で伝えている普通の研ぎ方は、水の使用量も少なく、短時間で簡単にできます。これの方がリーズナブルかな?というくらいのお話しです。

これから気温が高く、暑くなってお米の劣化が早まります。
できれば15℃以下の冷蔵庫(野菜室)などで保管されることをおすすめします。

参考文献
*1 貝沼ら , 洗米方法が米の食味に与える影響 , 調理科学 Vol.23,  No. 4, 419-423 , 1990
*2  村上ら, 炊飯水蒸気中に含まれる香気成分とその抗酸化能 , 美味技術学会誌 , 14(1) , 5-10 , 2015
*3  深井ら, 洗米回数による保温下の米飯の品質変化〔研究ノート〕 ,食品科学工学会誌  , 53(11) , 587~591 , 2006

こちらもぜひご覧下さい。

お米炊飯研究所#1  一回覚えたら一生使える!お米のとぎ方
https://youtu.be/emN9rbEosvo


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