【環境法】令和元年司法試験第2問

設問1

1 Aが排出した廃プラスチック片が「廃棄物」(廃掃法2条1項)であるかを検討する。「廃棄物」とは、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要となった物をいう。

 廃プラスチック片は、有害物質を多く含む不純物が混ざっており、そのままでは資源として使うことができないものであること及び再資源化のために特殊な加工が必要であり、かつ、資源として使用可能なものはほんの一部にしか過ぎない。そうすると、他人に有償で譲渡することはできず、取引価値は認められない。よって、「廃棄物」に該当する。

 また、本件廃プラスチック片は、Aが行う家電機器の再資源化事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、「廃プラスチック」に該当する(2条4項1号)。そのため、廃プラスチック片は、「産業廃棄物」(2条4項柱書)に該当する。そうすると、AがCに対して廃棄物の処理を委託する場合には、12条5項の要件(委託基準)を充足することが必要となるため、Cは、許可を得た産業廃棄物処分業者でなければならない(14条12項)。

 これに対して、Aが自ら廃プラスチック片を処理する場合には、産業廃棄物処理基準に従って加工することが必要である(14条1項乃至4項)。

2 本件では、廃プラスチックの加工に際して、AがCに委託費を支払っている。また、加工を委託した物については、他のものと混同しないように加工された上で、残渣とともにAに引き渡されている。そうすると、実質的には、Aが自ら処理しているのと同視できるため、廃掃法上の委託基準が適用されない。

設問2

1 ⑴について、使用済み家電機器は、「使用を終了し、収集された機器」であり、「その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分がされた場合に人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがあるもの」であるから、「有害使用済機器」に該当する(17条の2第1項)。

 有害使用済機器については、17条の2第3項で、18条1項等の規定が準用されている。そのため、本件家電機器が山積みになったままの状態であれば、まずは、18条1項に基づき報告を求める。また、19条1項に基づき、必要な限度において、立入検査を行う。さらに、適正な処理の実施を実現するために、19条の3に基づき、改善命令を行う。これに加えて、生活環境上の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、19条の5第1項に基づいて、その支障の除去等の措置を講ずるべきことを命じる措置命令を行うことになる。

2 ⑵について、本件家電機器は「原形をとどめない程度にまで劣化」しているため、取引価値は喪失したといえる。よって、設問1で指摘した「廃棄物」に該当するに至っている。

 まず、B県知事としては、1で述べたように、報告を求めること、立入検査を行うこと、改善命令を行うこと及び措置命令を行うべきである。また、19条の8に基づいて、代執行を行うことも可能である。

 次に、Dらとしては、「生育中の稲が汚染されていることを危惧している」ため、田地の所有権に基づく妨害予防請求権に基づく差止請求を行うべきである。

 本件では、家電機器が劣化、変色し、その下から液体が染み出して、Aの工場に接する農業用の用水路に流れ込んでいる状態であることから、稲が汚染される危険が生じているといえる。そのため、廃棄物の除去により用水路に流れ出ないようにするか、汚染水が農業用水ろに流れ込まないように遮蔽する措置を求めることになる。

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