見出し画像

「うまく質問できない…」を解消!「加速の質問3ステップ」とは?【安田ノート(2)】

ーー私は上手く質問することが苦手です。その理由としては、何となく分かった気になって終わりにしてしまったり、そもそも質問できるほど疑問が明確化されていなかったりすることがあります。(オンライン添削個別ミーティングレビューより)

「質問はありますか?」という問いに対して、「なんとなく分かったけれども、どこが分かっていないのか分からない…。だから、質問できない…。」ということはないでしょうか。

講義を聴き終えたばかりの段階では、それでもやむを得ないかもしれません。

しかし、講義後に問題を解く中で、「あの論点との関係は?」、「どうしてこのような要件が必要だと考えられているのか?」など、色々と疑問が生じてくると思います。もし、疑問が何も出てこないという状態であれば、「覚えるだけ」の勉強をしてしまっている可能性があります。

今回は、「試験対策を加速させる質問」について考えていきたいと思います。

【加速の質問3ステップ】

1.問題文を整理していく中で思いついた条文や判例を列記する

2.それらについて解説している自分のインプット教材(まとめ本ではなくある程度解説が書かれている書籍)の説明を確認

3.それでも理解できない部分はどこかをメモする

到達目標1:疑問がある部分を見つけ出す

私は上手く質問することが苦手です。その理由としては、何となく分かった気になって終わりにしてしまったり、そもそも質問できるほど疑問が明確化されていなかったりすることがあります。最近は、ミーティングを通じて直近の添削にて見ていただいた内容を振り返り、先生と会話する中で、自分の中の疑問点を言葉にできるようになってきました。初学者にとっては、そもそも質問をするということが難しいのではないかな、と思います。(オンライン添削個別ミーティングレビューより)

このレビュー引用部分は、とても大切なことが書かれています。まず、「何となく分かった気になって終わりにしてしまった」という部分について。

試験対策の講義は、具体例を使って説明されるため、「分かりやすい」と感じることが多いです。そのため、「何を学ぶべきかはなんとなく分かった」という状態にはなります(私も受験生時代そうでした。)。

しかしながら、その先、すなわち、「問題を解けるレベルまでわかった」とえるかは別問題です。講義を聴くだけでできるようになる部分もあるかもしれませんが、大半は、実際に問題を解く中で考え方を身につけていくことにないでしょうか。

そのプロセスにおいて、「分からないこと」が出てきます。そして、この「分からないこと」を解決するために、テキストを復習したり、講師に質問したりすることになります。

受験生の一つの到達目標として、「自分が分からないことを明らかにする」ということが挙げられます。どの問題が分からないのか、また、ある問題が分からないといっても、どこまでが分かっていて、どこからが分からないのかを把握しておく必要があります。

到達目標2:自ら考える必要性を理解する

質問をするには、自分の中である程度固まった理解が必要だからです。それがない初学者は、講師の話をただ鵜呑みにして、理解したような気持ちになってしまいます。ミーティングをお願いしはじめて、私はもうすぐ半年になります。最近やっと鵜呑みの状態から疑問点の発見、そして解消に至れるようになってきた気がします。今後も先生との対話の中で、自分の気づきを増やしていけるようにしたいと思います。(オンライン添削個別ミーティングレビューより)

最初は鵜呑みにするだけでもやむを得ません。むしろ、講義で強調されていることをそのまま理解しようとし、覚えようとすることは、試験対策との関係で有用です。ただし、いつまでもそのような状態だと、「自分で考える」ということができない状態が続いてしまいます。

自ら考えることの重要性に気づいたとき、それは試験対策が加速する第一歩といえるでしょう。

到達目標3:「加速の質問3ステップ」を実践ーレベルアップに直結する質問方法とは?

先ほど、「自分で考える」ということをお伝えしましたが、「オリジナルのことを考える」ということではない点は注意してください

司法試験では、「オリジナルの法理を編み出す」ということはないと言い切って問題ありません。あくまでも、条文、判例法理、通説その他の学説(以下「条文等」といいます。)から、目の前の事案に対する結論を導くことが求められています。

では、何を考えればいいのでしょうか。それは、目の前の事案(問題)に条文等をどのように適用するのかということです。これを試みる段階で、どの条文を使うのか、なぜこちらの条文は使わないのか、先例となる判例はあるか、この判例のことを思い出したけれどもそのまま使っても問題ないのか……など、考えることがたくさん出てきます。

これらを考えていく中で、どうしても自分で処理しきれない部分が出てくるはずです。そのような場合は、以下のような3段階の質問プロセス(以下「加速の質問3ステップ」といいます。)を実践して見てください。

1.問題文を整理していく中で思いついた条文や判例を列記する

2.それらについて解説している自分のインプット教材(まとめ本ではなくある程度解説が書かれている書籍)の説明を確認

3.それでも理解できない部分はどこかをメモする

講師に対して、自分が分からなかった問題を伝えた上で、1.〜3.を伝えてみてください。

問題とは関係なく、「○○は……ということですか?」ということだけ聞かれても、質問を受けた側は、質問者がどういう状態なのかという前提が分からないため、一般論でしか回答することができません。

これは私の回答のスタンスなのですが、目の前の具体的な質問を解決しつつ、ほかの場面でも使いこなせるように徐々に抽象度を上げる形で回答するようにしています。そのため、どの問題でどのように悩んだのかを見せていただくと、「試験対策を加速させる」ことができます。

少し具体例で見ていきます。皆さんが後輩の受験生から「憲法の違憲審査基準の立て方が分からない」という質問がなされた場合、皆さんならどのように回答しますか?

おそらく、一般的な検討の手順を説明することになると思います。しかし、質問者は、具体的な問題を検討した上で、「立て方が分からない」としているので、一般論だけでは、結局解決に至らないことも多いのではないでしょうか。

そこで、「どの問題が分からなかったのか?」と追加で質問者に問うことになりますが、質問した側が「なんとなく分からないです」というだけだと、それ以上話しを進めることはできません。

もちろん、その場で具体的な問題を一緒に見ることで解決に至ることもありますが、全ての論点についてそのような学習を行うのは、現実的ではありません。

そこで、「加速の質問3ステップ」が重要となります。質問の前の段階で、具体的な問題を踏まえた疑問点の整理を行うようにしておきましょう。講師は、その経験上、多くの受験生から多数の質問を経験しており(しかも過去に同じような質問を多数受けている。)、どのような点で疑問を感じるのかを把握していることが多いです。

そのため、「加速の質問3ステップ」を意識した質問をしていただければ、だいたいどの段階で躓いているのかが分かり、それに応じた回答をすることが可能です。

分からなくても、分からない中で検討した結果を持ってきていただくことで、質問者の状態に応じた回答をすることができます。「一般論を知りたい」という場合でも、加速の質問3ステップのうち、2.「自分のインプット教材(まとめ本ではなくある程度解説が書かれている書籍)の説明を確認」と3.「それでも理解できない部分はどこかをメモする」のプロセスは実践しましょう。

この手間を惜しむのは、試験対策の放棄に等しいです。理解しようとするプロセスを外注するべきではありません。

なお、この加速の質問3ステップは、レベルが上がってくると、質問する前に自己解決できてしまう場面も多くなります。そうなれば、3ステップの検討結果を伝えた上で、「このように考えるのですが、問題ないですか?」という確認の質問のみで解決できるようになります。

途中のやりとりもいいのですが、自己解決できるほうが「時間短縮」することができます。まだ、分からないことが多い皆さんにはイメージしづらいかもしれませんが、「教科書に書いてあることで大半は解決できる」という状態になってきます。

それでも解決できないことに絞って、双方向でのやりとりを行っていけば、短期合格へ近づいていきます。

質問を検討するプロセスも試験対策として有用です。ぜひ実践していく中で、レベルをあげていってください。

【安田ノート(2)まとめ】

問題を解いていて分からないことを質問する場合は「加速の質問3ステップ」を意識する。

1.問題文を整理していく中で思いついた条文や判例を列記する

2.それらについて解説している自分のインプット教材(まとめ本ではなくある程度解説が書かれている書籍)の説明を確認

3.それでも理解できない部分はどこかをメモする

執筆者自己紹介

画像1

司法試験・予備試験対策オンラインサロン「オンラインロースクール」のオーナー。

オンライン添削を実施し、週に50通〜60通の添削を実施している。2021年3月以降の個別ミーティングは、350件到達間近。

オンラインロースクール紹介

【社会人&複数回受験合格者も続々】【予備&司法試験上位合格者在籍】頼れる先輩合格者&ともに戦う仲間が見つかる学び舎コミュニティ。充実のコンテンツ・イベントで楽しく学び、みんなで最終合格を掴みとろう【プロ講師直営】


最後まで読んでいただきありがとうございます。 感想のコメントやいいねをいただけますと記事更新の励みになります。