見出し画像

推しメンが卒業し、ヲタ卒を失敗した話。

ヲタクとは、辞められないものである。

まぁまぁ、ヲタ卒するぜ〜詐欺の言い訳エントリーかよと思ったそこのあなた、これから綴る心情の変化が如何にして起きたことなのか、年の瀬に振り返ってみたので聞いてくれ。

我が推しメン、私立恵比寿中学の柏木ひなたさんは、2022年12月16日に晴れてグループを『卒業』した。

この卒業という字面、アイドル業界においては一見普通の呼称ではあるが、これまで私立恵比寿中学においてメンバーがグループを脱退する事象は、中学校をコンセプトに掲げている団体に準じて『転校』と呼ばれていた。
それが柏木さんの場合は『卒業』。最後に出演するライブタイトルも『卒業式』を冠していたのだ。
これは彼女が、私立恵比寿中学という学校で行える全ての課程を、これ以上なくやりきったという称賛に値する粋な計らいだろう。

まごうことなき、卒業公演の手前に行われた4つの伝説的プロデュースライブ『柏木企画』を目撃したファン達には、柏木ひなたという人間がどれほどグループに・我々に、恩恵を与えてくれた存在であったか、有無を言わさずとも納得させられた事、間違いない。

——この柏木企画が、後の10人体制以降のヲタクモチベーション話につながってくるのである。

後悔など生まれてたまるか論。


そんな偉大な彼女を推しメンとして生業を立てていた自分は、この先に待つのは『ヲタ卒』だろうという思惑があった。

というのも、自分自身も『私立恵比寿中学の柏木ひなた推し』として全てをやり切ったと実感していたからである。そう、全てだ。
ここで言う全てという概念は自己満足の頂点だと思ってもらいたい。

よく「推しは、推せる時に推せ」という言葉がいわゆるヲタク格言として目に入ってくるが、いつ見ても自分はこの言葉に違和感を感じる。
そもそもヲタクとして、推しメンと決めた人物の活動に、自分の持ちいる時間・アイディア・富・名声・力、この世の全てを貢げる海賊王な事が生き甲斐だった自分に、いきなり第3者から「推せる時に推せ」など言われてもルフィばりの形相で「当たり前だ!!!!!!!」ドン!!!!!!!などと反論したくなるほど、軽い気持ちで推しへ接する人間いるんか??????という精神だ。

もっと過激に言うと、他人から言われて初めて、あぁもっと現場に行っておけばよかった…なんて後悔抜かす人間は言語道断なのだ。当時の俺からしたらそれはヲタクとしてのステージにすら立っていない。(別に立つ必要はない
自分を生きる森羅万象全ての時間が、推しとの関係へと無意識的に変換していたからだ。
事実、卒業の発表があった時、かなり驚きはしたが後悔など1mmも生まれなかった。ここから卒業の日までどう楽しむか。だろ。
それしか考えれなかった。

さらに食い込むと、烏滸がましいが自分は推しメン(好きな人)と仲良くなりたいという気持ちが生まれるタイプでもあった。(これは発信の仕方で不快に思われる方がいます。用法用量をよく守ってください。)
9年間それはもう数えきれないほどのCDを購入し、どの年・どの季節、何度も何度も推しメンと語り合う生活を続け、おこがましいが最終的にはお互い“仲良くなれた”と自信持って言えるくらいには、関係性を築けたとも思っている。

信条にしていたのは、接触ばかり行ってライブは遠慮がち。というパターンのヲタクには絶対にならないと誓っていた。
柏木ひなたさんは真面目な人間なので、ライブに対する考えがものすごくしっかりしている。なので、直近のライブやイベントに対する考えを聞いたり感想戦をするのがとても有意義ある時間だったのだ。毎回、こちらが唸るような答えを聞かせてくれた。彼女は本当にすごい。
そして、頭空っぽでふざけあったりちょっかい出し合うのがびっくりするくらい気の合う人だった。

一方通行が、両方通行での関係になれるメリットが昨今のアイドルビジネスであり、そのサービスをふんだんに享受したいと野心メラメラの人間だった訳である。

そんな異常独身男性が、完璧な人間力なるメンバーの、刹那的な卒業へのカウントダウンを仲間と駆け巡り、試行錯誤し、無事にラストの卒業ライブを大団円で見届けれたのであれば、あしたのジョーとシンクロ率100%ebismの「燃え尽きたぜ……」状態になるよね。

つまり、アイドルヲタクとしてこれ以上の感極まる瞬間が訪れることはないと思っていたのである。

(故に、この経験から次の推しメンは〇〇!などと公言できないマインドがある。もちろんこれは異常だし、抱えてるヲタクが全員そんな人間ばかりだったら毎日カオスな空気が蔓延ることだろう。)

(卒業式自体の深い感想は、あえて語ろうとも語れない宝箱のような時間であり、心の中に大切にしまっておく。)

新体制ライブ

ところがどっこい。
翌日、推しメンがステージから去り、新たに加入した2人の新メンバーと合流するグループ新体制ライブ。
これを見に行くかどうかは正直、直前までものすごく迷ったのだが、
逆に推しメンがいなくなったステージを見て自分はどう感じるのだろう…?という好奇心が生まれ、周りのチケ無し仲間達と打ち上げ後の勢いで足を運ぶことにしたのだ。(本当に迷っていた為、当日券を買い、入場。)

結果、これが大号泣させられるほど良かった。
当時の予想だにしなかった感動は、以下の ツイート POST達が熱量を物語ってるだろう。


そう、歌姫卒業後の10人体制初のライブ。どうなってしまうのかという不安は拭えない…はずだった。
まず新メンバーのエマ・ユナが圧倒的歌唱力ポテンシャルを持ってライブ第1声パートを飾り、会場をどよめかせたのだ。
この激烈なフックから、開演前の不安は一気に吹き飛ばされたことであろう。
ユニットでもパフォーマンスをリードする姉メンたち、もうすでに2年目としての貫禄が垣間見えるココユノノカ。新鮮な演出も後押しし、
ひなたがかつてライブ(2021年6voicesツアー福岡)で言い放った「最新の私立恵比寿中学が、最強の私立恵比寿中学。」
これを体現していたに尽きる。


思えば、ひなたがラストシーズンに魅せてくれた柏木企画は、どれも自身の愛するグループメンバーのキャラクター(個性)や関係性をふんだんに活かし、僕たちにメンバーそれぞれの推しポイントを再確認させてくれた内容でもあった。
自身が卒業するにあたって、まず相手のことを立てる仕掛けだったのがなんとも彼女らしいと思う。
BOSSと子分 公演に関しては、ひなたから後輩への教えというニュアンスが含まれてたし、
本人の卒業ライブですら、ステージを降りてメンバーへとペンライトを振り盛り上げるという演出まであった。

つまりその意図を全身全霊で受け取った僕からすれば、本命の彼女がいなくなってしまっても、私立恵比寿中学というグループが大好きなままの純粋ヲタクになってしまったのである。

年が明け一旦は、僕も現実的に転職や貯金を考え、身の振る舞いを改めようとこれまで脳死で行っていた「発表された公演のチケットをあえて申し込まない」という選択に移り、いい感じの距離感を保つはずだった…が、
春先に行われた「武者修行フリーライブ」

・今は規模的にも失われたアットホーム感のある野外フリーイベントの良さ
・この前まで新メンバーと呼ばれていた学生組の成長具合
・新メンバー達だけで作り上げているステージの青春(エモ)感
などに感化され、続く春ツアーにもなんと6公演……
(今までは10以上は当たり前だったかがまさか推しメンいないのにこの数……)
そう、推しメンいないのにツアー6公演は他人から見たら異常。
俺は少ないと思いつつ動いていたつもりだが、周りのヲタクさん達からはヲタ卒してないヲタ卒してないと言われる始末。

全ライブが卒業式後のエピローグ

とはいえ、じっくり振り返ると気づいたことがある。
これは特に、春夏にかけての心情なのだが、
春ツアー・ファミえんに関しては新体制となって初の◯◯を浴びるビッグイベントである。
あのひなたパートは誰に引き継がれたのか?
思い返せばこのポイントが気がかりで足を運んでいた節もある。
そしてその全てがもう見事なまでに解釈一致と言わしめるエビ中スタッフ陣の采配たるや。
それを僕はライブ都度、後方腕組み彼氏面姿勢で特定のメンバーに拘らず、10人をゆっくりと見渡しながら唸っていた訳である。

例を挙げようとすれば無数にあるが、特筆すべきはファミえんのこれだろう。

Family Complexは名前パートが肝であり、抜けたメンバー部分をどうするか注目されていた所に、これはやられた。
自分だけじゃなく周りの同10推しまで一斉に涙腺が決壊した瞬間だった。
こういう愛情を肌で感じる事ができるからこそ、現場に足を運ぶ醍醐味があるのだ。
文字面で情報を知るのとは、ワケが違う。

このような、自分の好きだったひなたパートや役割が、愛を持って受け継がれている関係を追体験することに、2023年は、10推しとしての長いエピローグだったんだなと気づいたのである。

ひなたが残したモノがどうなるかまで見届けたかったんだなぁと。

結果、僕たちは私立恵比寿中学が大好き芸人です。

さいごに

年の瀬になると気の利くヲタク様達が年間ライブリストなるものを拡散してくださり、自分の統計を見てみると23という、これまでに比べたら圧倒的に少ない数だが、ライブ数としてみたらまだまだ多い方だと思う。

だがそれでもいいんだと思った。
この数値が、無理のない範囲で楽しめている生活なんだと思う。
実際、柏木ひなたさんがソロ活動を着々と勢い付けていく(言うまでもなく素晴らしいスタッフ・マネージャーに出会えた事への感謝)と同時に、僕の目標だった転職も、己を見つめ直す時間ができたからこそ、無事成功することができた。

きっぱり現場数を0にしなくても自分の人生は変えられるし、自分の思うがままにフラっと遊びに行くスタイルで、愛してやまなかった推しメンが在籍したグループをこれからも見届けていきたいと思う。

今後、これを読んでいるみなさんが推しメンの卒業や何らかの事情でヲタク活動をきっぱり辞めようと心がけ、ヲタ卒するぞ!と叫ぶ人は、多分無理です。なぜなら愛のあるヲタクなので。
自分の中で、程よい距離感というものが自然に見つかるから、自分に枷をかけなくてもいいんだと学びました。
正直に生きる。

それはきっと、この先形が変わっても、己の“好き”が消えることのない素晴らしい人生だ。
ありがとう柏木ひなたさん。
ありがとう私立恵比寿中学。

最後にこう締め括ろう。

ヲタクとは、辞めなくてもいいものである。

y_t_sun


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?