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不動産×電子契約の社会実験、現在の状況は?これまでの取組を整理!

こんにちは、坂野です。
最近の週末は入道雲を眺めながら感傷に浸るのが日課です。

しばらく電子契約サービスの開発・案内にコミットしていましたが、note執筆復帰します。
お客様に案内していてたまに聞かれるのが、「社会実験の結果って、結局どうなったんだっけ?」というものです。今回はこれをまとめます。

結論:IT重説は可、電子書面交付は不可(実験中)

まず整理すると、不動産業の電子契約まわりで行われている(いた)社会実験は、次の4つです。
▶IT重説(賃貸)
▶IT重説(売買)
▶電子書面交付(賃貸)
▶電子書面交付(売買)

このうち上2つについては、本格運用が開始しています。
すなわち、IT重説については、賃貸・売買いずれでも可能です。

一方、下2つについては現在も社会実験中という扱いで、社会実験に参加していない企業は行うことができません。これが、前回の記事でご紹介したデジタル改革関連法案の施行とともに可能となる、というのが今の状況です。

これまでの社会実験の流れは、国土交通省の公開している図が(珍しく)わかりやすいので引用します。(売買のIT重説が本格運用予定となっていますが、すでに開始しています)

これまでの取り組み
引用:建設産業・不動産業:宅建業法にかかるITを活用した重要事項説明等に関する取組み - 国土交通省

IT重説と電子書面交付の違いとは?

IT重説については、国土交通省がマニュアルを公開していますので、ご覧いただくのがよいと思います。

建設産業・不動産業:IT重説本格運用(平成29年度~) - 国土交通省

この中で電子契約関連で大事なのは、「重要事項説明書はあくまで紙を事前送付して、お客様の手元にある状態で重説を行わなければならない」という点です。IT重説でWeb化が許されているのは「説明」の部分だけであって、重説書自体はまだ紙でなければいけません。

そして、この重説書(そして37条書面)自体も電子交付可能にする(要するにPDFをメールで送信すればOKということにする)ために行われているのが、電子書面交付の社会実験ということになります。賃貸では令和元年から、売買では令和3年から行われており、デジタル改革関連法案の施行とともに本格運用が開始します

電子書面交付のために必要なツールは?

先ほどは簡単に、PDFをメールで送信すればOKなどと書きましたが、実際に本格運用が開始した際の制度はもう少し複雑です。
重要事項説明書や契約書には、現在宅建士の記名押印が義務付けられています。電子交付する場合もそれと同様、宅建士の記名と、宅建士の押印に相当する電子署名を施す必要があります。記名は印刷でも問題ないので、実際の業務としては、宅建士の名前を入力済みのファイルを作成し、そこに宅建士本人が、電子契約サービスを用いて電子署名し、先方に送付する、という流れになるかと思います。
利用できる電子契約サービスについては、国土交通省がガイドラインを出していますが、名前の知れているところであれば特に問題はないレベルとなっています。

建設産業・不動産業:重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係るガイドライン - 国土交通省

まとめ

以上、不動産業の電子契約の社会実験の最新の状況をまとめると、
▶IT重説(賃貸):平成29年10月から可能になっている
▶IT重説(売買):令和3年3月から可能になっている
▶電子書面交付(賃貸):社会実験中(来年5月までに可能になる)
▶電子書面交付(売買):社会実験中(来年5月までに可能になる)
ということになります。

電子書面交付が可能になった際、実施しようと思ったら電子契約サービスの利用がほぼ必須になります。電子契約は、すでに更新契約や駐車場契約、サブリースの賃貸借契約などでは活用が進んでいますし、それ以外の賃貸借契約でもフローをうまく組むことで活用可能です。
今のうちから導入し、社内の準備をしておくことで、電子書面交付が可能になったタイミングで、一気に業務効率化を実現できるかと思います。


お知らせ
本業エンジニアなのですが、下記の電子契約サービスをテストリリースしました。ご参考にしていただけたら幸いです。


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